2017年01月03日

想像以上の衝撃 旋風を巻き起こしたRBライプツィヒ

新年明けましておめでとうございます。

毎年一年の最初は天皇杯決勝のレビュー記事が定番でしたが、
本年は肩肘張らず、自分のペースでじっくり更新していこうと思っています。

そんなゆったりした感じのブログサイトですがお付き合いいただけたらと思います。

それでは昨年アップしようと用意していたものがありますので、そちらから始めたいと思います。


今シーズンのドイツ・ブンデスリーガ前半戦において旋風を巻き起こしているのが
巨大な資本をバックにするRBライプツィヒ。

開幕ゲームのホッフェンハイム戦での引き分けを皮切りに
13節のシャルケ戦に至るまでの間を無敗のまま乗り切ると、
今シーズン昇格したばかりながら11節には首位に立っている。

ラルフ・ラングニックに端を発した先鋭的なスタイルのサッカーは
プロジェクト発足からたったの7年で
ラルフ・ハーゼンヒュットルの下で結実しようとしている。

開幕前からピッチ外での経営面がクローズアップされた同チームではあったものの、
シーズン前半戦を終えた現在ではピッチの中でサプライズを与えているといって過言ではない。

その躍進の原動力となっているのが、
最終ラインを上げて両サイドが中に寄って作り上げるコンパクトスペースをベースとして、
集団でプレスをかけての相手を追い込むプレッシングと
奪ったボールを縦に速く進めてゴールに迫るダイレクトなサッカーだ。

dss20170102001myboard.jpg

有名選手とは言い難い彗星のように現れた選手達による組織的なサッカーによる躍進ぶりは
チームの背景こそ異なるものの10-11シーズン香川真司らを擁してマイスターシャーレを掲げた
ボルシア・ドルトムントを想起させる。

しかしながら、コンパクト過ぎるスペースは相手の活動スペースを狭めるとともに
自らの活動スペースを狭める諸刃の剣にもなる。

スペースを狭めることによって
相手だけでなく自分達のボールコントロールも困難にすれば秩序の無い状況を生む。

しかし、ライプツィヒは敢えてこの無秩序な状況を作り出し
コントロールすることで試合を優位に進めようとしている。


ユルゲン・クロップ時代のドルトムントや
ロジャー・シュミット率いるレバークーゼンがそうであるように、
ハーゼンヒュットルのライプツィヒのゲームスタートもボールを保持しないところから始まる。

ライプツィヒの4−4−2の陣形はサイドMFがワイドに広がらず
内側に寄せることでオフェンシブMFとなって前後左右コンパクトな陣形を作ったら、
ボールサイドのOMFが2トップに並ぶように前に出ることで
相手のボールホルダーに対してのプレッシャーを強めている。

その際、逆サイドのOMFは中寄りに下がり
2人のCMFと共に中央を固めてパスコースを消し、
相手のボールを出す方向を誘導して実際に出させたら素早く距離を詰めて追い込みを図る。

dss20170102002myboard.jpg

ボールを持つ相手の選択肢は人の居ないワイドに開いたサイドか
もしくはGKへのバックパスに誘導されるために
タッチラインまたはゴールラインを背にして追い込まれることになる。

相手はそこでリスクを取ってもボールをキープするのか
それとも大きく蹴り出して当面のリスクを回避するのかの選択に迫られることになるが、
ライプツィヒは前線のプレッシャーに伴い
ディフェンスラインをハーフウェイまで上げて更にスペースを狭めているため、
相手が地上戦で足元から繋ごうとするならば密集したスペースの中でボールを奪い
空中戦でロングボールを蹴ってくるならば後ろから跳ね返してボールを取り上げる。

ボールを失った相手もまたすぐにプレッシャーをかけて奪い返そうとするため、
ライプツィヒは素早く縦にボールを前線に供給してプレッシャーが及ぶ前に攻撃へと切り替える。

相手の守備陣形が整わない間に縦に素早くボールを出すことは
大きなチャンスが生まれやすくなると言える。

しかしながら、ライプツィヒのそれは、相手ゴールに迫ることを実現すると共に、
「ボールを相手ゴールに近づける=自陣ゴールから遠ざける」役割をも果たしていると言える。

ボールを自陣から遠い位置に置いて敵陣で行うボール回収作業自体を守備として
高い位置から再攻撃へと繋げる。

しかし、そこでボールを失い、直後に相手にカウンターを仕掛けられるような展開になれば、
ボール回収作業のためにライプツィヒの高くしたディフェンスラインは
背後に大きなスペースを与えることになる。

ライプツィヒはその広いスペースを衝かれる展開に持ち込ませないよう
ボールを敵陣に閉じ込めるべく集団で厳しくプレッシャーをかけるわけだが、
相手と同数で相対している以上
行き当たりばったりでプレッシャーをかけるだけではボールを回収し続けることは困難である。

ましてや縦に速い攻撃ばかりを追求すれば
敵陣で選手間の距離を詰められるばかりでなく、
高い位置でのプレスを外されれば逆に大きなピンチとなって帰ってきてしまう。

だからこそ、ライプツィヒは縦に速い攻撃だけを追求することなく、
ボールをキープして繋ぐ事を試みる。

攻撃でボールを失った直後すぐに回収作業ができるよう
全体の位置を押し上げておくためだ。

ボールを保持する時間を持つ事でチーム全体を押し上げられれば、
失った直後にすぐに相手を取り囲むための用意・準備ができて
その場でのボールの回収効率を高める事を可能にする。

自陣ゴールから遠ざかった位置で守備をするのであれば
予防的な観点に立って事前の準備ができるようでないとその継続は難しい。


ライプツィヒのサッカーを短く表現するならば
「組織的なプレス」と「縦に速い攻撃」に集約されるとは思うが、
より深く掘り下げれば、「組織的なプレス」から「縦に速く運ぶ攻撃」、
または「縦に速い攻撃をしないで、繋いで全体を押し上げてから縦にボールを進める攻撃」となる。

そしてボールを相手陣内に運んだら「敵陣でのプレスによるボール回収」があって、
「二次攻撃」、「再びのボール回収作業」から「三次攻撃」へと繋がっているわけで、
これら連なる攻撃の連鎖は
縦に速い攻撃よりも後者の縦に急ぎ過ぎない攻撃によってもたらされる。

つまりは、ライプツィヒというチームを機能させているその根幹にあるのは
実際のところ「縦に速い攻撃」ではなく「繋ぐ攻撃」なのだ。

集団でのプレスでマイボールにしたライプツィヒは
まずは縦に速く相手の隙を衝くことを伺いながらも、
一旦後ろまで戻すことをしてボールをキープしようとする。

GKにまで戻しながらも
相手がボールに対してチェイスしてくるようであればやはり前方に蹴り出すものの、
後方で時間とスペースを与えられたならば後ろから繋いで前進することを選択する。

後方のCBヴィリ・オルバンとステファン・イルザンカーとその前方に位置する2人のCMF
ディエゴ・デメとナビー・ケイタの4人でボールを動かすライプツィヒは、
両SBのマルセル・ハルステンベルクとベルナルドがワイドに開くことによって
守備機会には存在しなかった「幅」を作り出す。

まさしく「守備は狭く、攻撃は広く」のサッカーのセオリーが体現されていると言える。

両サイドバックで作った幅はボールを運ぶための入口を作るが、
ライプツィヒはまずこのワイドに開いているサイドバックへボールを当てると、
前方に進める場合もあるがその多くの場合ですぐに後ろへのリターンを選択している。

dss20170102003myboard.jpg

後方とサイド間でかわされるこの何気ないパス交換は
相手のサイドMFの位置を下げて全体を押し下げると共に
ブロックの間を縦に引き伸ばしてスペースを作ることに寄与する。

相手の2列目以降を押し下げる事により
前線に残る相手選手との間に創出したスペースは、
ライプツィヒにとっての攻撃の起点箇所となる。

dss20170103005myboard.jpg

全体を押し上げることによって位置を上げてきたライプツィヒのセントラルMFは
そこで時間とスペースを得ることによって縦へパスを配球しながら
状況に応じて前方にできたスペースを衝いて更に上がっていく。

セントラルMFにサイドバックまで後ろから次から次へと飛び出してくるライプツィヒに対して、
最終ラインだけでは対応が困難になる相手は
2列目の選手がカバーしに位置を下げるためにますますその位置が押し下げられることになる。

dss20170103005exmyboard.jpg

その攻撃の中でライプツィヒがボールを失えば相手のカウンターの脅威に晒されることになるが、
相手を押し込んでいることによって
相手の前線に残った選手との間に生じた分断されたスペースは
ライプツィヒのボール回収作業を効率的に機能させる。

カウンターの起点になろうとする相手の前線の選手に対して
ライプツィヒはセンターバックが背後からぴったりマークに付くと、
前方からはプレスバックの援軍を得ることで
ボールをコントロールしようとする相手選手を挟み込む。

dss20170103006exmyboard.jpg

先ほども言ったように、
相手と同じ人数である以上はプレッシャーをかけようとするライプツィヒの選手の数と
カウンターを仕掛けようとする相手選手の数は大きくは変わらないはずだが、
ライプツィヒはボールを持って攻撃している段階で相手を押し込んで前後を分断しているため、
相手がいざカウンターを仕掛けようとする時には既にその起点となる箇所を孤立させている。

その孤立した選手に的を絞って前後でサンドしているからこそ
少ない数の相手選手を複数人で取り囲める状況が生まれているのであって、
ライプツィヒは決して走力に頼っただけのチームではなく
失ったボールの回収まで逆算してゲームを組み立てている論理的なチームであり、
そこに今シーズンのドイツ・ブンデスリーガを席巻している要因がある。


しかし、そのライプツィヒもウインターブレイクに突入する直前の前節、
首位攻防戦となったバイエルン・ミュンヘンとの試合で鼻をへし折られている。

ハーゼンヒュットルの古巣インゴルシュタットには土をつけられていたものの
ここまで順風に試合を消化していたと言えるライプツィヒを躓かせたのは
バイエルンの個々の選手が有するクオリティの高さだった。

バイエルン戦に臨んだライプツィヒはこれまでと同じように守備をセットし
前線からプレスをかけてサイドにボールを誘導しタッチラインに追い込んでいる。

そこには首位攻防戦でも臆することなく
普段着のサッカーをしようとするライプツィヒの姿があったように思うが、
バイエルンの選手は追い込まれながらも密集地帯を個人で突破してくる。

バイエルンの先制点もそうであったが、
ライプツィヒがサイドに追い込んで数的優位の状況で相手を取り囲みながらも
少ない人数のバイエルンの選手に球際の争いに敗れて逆サイドへ展開されて仕留められている。

取り囲む前の段階においても、バイエルンの選手の
ワイドに開いた選手の足下に届けるスピードを乗せた長い距離のパス精度と、
外に出すと見せかけて中を衝いてくるようなパスを出す上での状況判断能力は
ライプツィヒのプレッシングを完全に無効化させた。

dss20170103007myboard.jpg

また、奪ったボールをキープしようとライプツィヒがGKまで下げても
バイエルンの選手が追ってくるためにロングボールを蹴れば
逆にバイエルンにコンパクトスペースを作られてロングボールを跳ね返される、
ようやく敵陣に運んでもカウンターの起点となるレバンドフスキを潰せず
ディフェンスラインを突破されて背後の広いスペースへと浸入されるなど、
ライプツィヒは全く良いところを出させてもらえず、
相手の隙をついて縦に速く攻撃できた時しかチャンスにならなかった。

先制されたライプツィヒが更に前からボールを取りに行く必要が出て
バランスを崩すことになったのに対して
バイエルンは前から取りにいかずに待ち構えるようになってライプツィヒにミスが出たり、
また、焦ったライプツィヒがラフプレーをしてしまい退場者を出すなど、
先制点がライプツィヒの戦況を悪化させた結果が0−3と差の開いたスコアにはしている。

しかしながら、ここまでライプツィヒ躍進の原動力だったプレッシングは機能させてもらえず、
敵陣でのプレスを機能させるためのボール保持もままならなかった点で言うと、
例えスコアが動いていなかったとしてもこの試合に関してはライプツィヒ「完敗」の評価が妥当だろう。

順位こそ近くしてはいるものの、ライプツィヒと王者バイエルンとの間には
まだまだそれだけの大きな差があることを痛感させた首位攻防戦だった。

ただし、対抗馬となりうるところまで力をつけてきているのは間違いなければ、
その差はバイエルンの選手のコンディションによって左右されるところもあると言える。

バイエルンの選手がコンディションが上がらず
プレーのクオリティが高まらなければ違った結果がもたらされる可能性は十分にある。

次回の両チームの対戦はシーズン終盤となるが、
消化しなければならない試合の数が多く
疲弊する可能性もあるバイエルンがコンディションを維持できている保証はない。

とは言え、やや勢いを失ったライプツィヒが
そこまでに現時点での勝ち点差をキープできているかも不明であり、
ライプツィヒにとってもこの勝ち点状況の維持が求められるところではある。






banner_22.gif

にほんブログ村 サッカーブログ 海外サッカーへ
にほんブログ村
posted by ピーター・ジョソソン at 12:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ ブンデスリーガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月24日

デア・クラシカーを制したドルトムントの勇敢な姿勢

既に週中にチャンピオンズリーグの試合を消化してしまっているので
最新試合のレビューではなくなってしまいましたが、
先週末に行われたドイツ頂上決戦デア・クラシカーを分析してみようと思います。

日本代表から合流した香川真司はベンチスタートだったものの、
インターナショナルマッチウィークで期間を開けたことにより
ドルトムントは負傷者が戻って戦力が整いつつあるのに対して
バイエルンは逆にインターナショナルマッチで負傷者を増やす対照的な状況となっている。

dss20161122001myboard.jpg


ドルトムントにつけいる隙を与えたバイエルンのリトリート

今シーズン最初のデア・クラシカーは予想通り
試合序盤からめまぐるしく攻守が入れ替わる展開となった。

ボールを持ったチームが前方に運ぼうとすれば
反対にボールを保持していないチームは集団でプレッシングをかける。

激しいプレスの中でボールを運ぶためには、
蹴り出してしまわない限り
味方にパスを通すためにもまずはボールをキープしなければならない。

相手のプレッシャーよりも速くボールを処理しようとすれば
プレースピードを上げる必然性に駆られることから攻守の切り替えは激しくなる。

その切り替えのスピードはドルトムント、バイエルン、ともにトップレベルだったものの、
ディフェンスラインを高い位置に上げて
相手の活動スペースを縮めるプレス戦術を徹底したドルトムントに対して
バイエルンは時折リトリートする姿を見せた。

リトリートは悪ではないが、ペップ・バイエルンでは見られなかった事象であり、
それによりドルトムントに対して自陣への進入を許した事も確かであったように思う。

敵陣へと侵入したドルトムントは攻撃においてボールを失うようなことになっても
すぐに攻守を切り替えることでその場でボールを回収してポゼッションを高めようとする。

ドルトムントの集団でのプレッシングはポゼッションする上での強力なバックボーンとなるが
それだけがポゼッションする状況を作り上げたわけでなく、
この日のドルトムントにはポゼッションする状況を作り上げるだけの緻密な計算があったように思う。

ドルトムントはこの試合、敵陣までボールを運ぶと
ほとんどの機会においてインサイドハーフのアンドレ・シュールレとマリオ・ゲッツェが
バイエルンのSBとCBとの間にできるニアゾーンにランニングをかけている。

ニアゾーンへのランニングは相手の整った守備組織を崩すためのセオリーではあるが、
この日のドルトムントには事前に打ち合わせていたかのように躊躇がない。

ドルトムントはアドリアン・ラモスとピエール・エメリク・オバメヤンの2トップにしているため、
4バックで対応しているバイエルンの
CBマッツ・フメルスとジェローム・ボアテングをゴール前に固定する。

その状態でドルトムントがボールをサイドに置くと、
アウトサイドに引き出される事になるバイエルンのサイドバックと
ゴール前に固定されるバイエルンのセンターバックの間にはニアゾーンができる。

dss20161124002myboard.jpg

ドルトムントは試合開始の早い時間帯から
このニアゾーンへとシュールレとゲッツェを送り込んでおり、
バイエルンは中盤2列目の選手がカバーリングを求められるようになる。

dss20161124003myboard.jpg

中盤の底を務めるシャビ・アロンソは主に2対2のゴール前をプロテクトしているため、
ニアゾーン対応するのはジョシュア・キミヒかチアゴ・アルカンタラである。

キミヒもしくはチアゴがニアゾーンに走り込むシュールレとゲッツェに対応する事で
バイエルンはドルトムントの攻撃に蓋をする事になるが、
それはバイタルエリアからバイエルンの選手を減らす事も意味する。

バイタルから人を減らしたバイエルンは
ドルトムントの攻撃を跳ね返した後のセカンドボール争いで後手に回る事になる。

dss20161124004myboard.jpg

セカンドボールを拾える可能性を高めたドルトムントは
実際にセカンドを拾って二次攻撃へと繋げるとゲッツェの折り返しをオバメヤンが押し込んで先制した。

この試合のドルトムントの全体的なボール支配率は40%を切っている。

しかし、先制するまでの序盤の時間帯においてはドルトムントがポゼッションする姿もあり、
それを可能にしたのはバイエルンのリトリートとドルトムントの的確な攻撃プランにあったように思う。


ドルトムントをリトリートさせたバイエルン

しかしながら、バイエルンだけでなく
ドルトムントとてプレス戦術を徹底できなかった。

リードしてからは特にリトリートするところも出てきていたように思う。

リードした事によって
ドルトムント自身が前後のバランスを重視するようになったこともあっただろうが、
引かざるを得ない状況をバイエルンに作られていたこともあったと思う。

ドルトムントが引く選択をするようになったのは
バイエルンのロングフィードへの対応とサイドへの対応にある。

ドルトムントは全体でプレス戦術を機能させるために
ディフェンスラインを非常に高く上げているが、
少しでも隙ができるとバイエルンは背後へロングフィードを出してくる。

そのために前後の距離感覚を意識してバランスを取るようになり、
下がってボールを受けるシャビ・アロンソに付いていかないところが出てきた。

アロンソが下がって数的優位の状況を作るバイエルンのビルドアップは
ドルトムントの2トップのチェイシングを剥がす。

dss20161124005myboard.jpg

それに加えて、バイエルンは序盤から神出鬼没のトーマス・ミュラーを
ドルトムントの左サイドに送りこんでいる。

但し、ミュラーがサイドに流れてきていても
序盤のドルトムントは全体をスライドさせることで対応できていた。

dss20161124005exmyboard.jpg

しかし、ドルトムントがリードしてからは
反対サイドのアラバが積極的に高い位置まで上がってきており、
5バックのドルトムントと言えども反対サイドを脆弱にしてしまうスライド対応は採りづらくなった。

チェイシングを剥がされる2トップと
スライド対応が採れずにリトリートを余儀なくされるウイングバック、
この結果バイエルンのサイドバック、
特に右サイドの低い位置に留まっているフィリップ・ラームへのマークが及ばなくなる。

dss20161124006myboard.jpg

バイエルンはこのラームをポイントとして、ボールを運ぶ、ボールの置き所にする、
また遅れて前線に上がってフィニッシュシーンに絡ませることによってドルトムントゴールを脅かし始める。


ボールは渡しても主導権を渡してはいけない

ドルトムントとしてはバイエルンの攻撃を凌いだらカウンターを仕掛けたい。

体を盾にしてボールをキープするラモスとスピードで相手を撹乱するオバメヤンの2トップ、
この2人を前線に残しておく事でカウンターへと移行する場面はあった。

しかし、バイエルンがドルトムント陣内にボールを運び
プレスを徹底する事によってポゼッションを高めるようになると、
ドルトムントのカウンターは未然に防がれて成就しなくなっていった。

前線で待っていてもボールが届かない、届いても孤立している状況を見かねて、
前半途中からオバメヤンが低い位置まで下がってスペースを埋め始める。

ドルトムントの5−3−2の布陣は「3」の横にスペースを作ることから、
オバメヤンが埋める事によりドルトムントが守備をする上では大きな助けとなる。

dss20161124007myboard.jpg

しかしながら、前線に残すべき選手の位置を下げてしまったことで
ドルトムントは更にカウンターを難しいものにする。

そこで、ハーフタイムを挟んだ後半にドルトムントは
ユリアン・ヴァイグルとともにゲッツェを中央に残すと、
左にシュールレ、右にラモスを配置しオバメヤンの1トップとする5−4−1へと陣形を変える。

中盤の枚数を3枚から4枚にしサイドに人を配置することで2列目のスペースを埋め、
ポジショニングを上げてくるバイエルンのサイドバックへの対応をできるようにするに当たって、
守備の軽いオバメヤンではなく体の張れるラモスの位置を下げた。

但し、引いてしまえばやはり前半同様にカウンターを困難にすることから、
後半のドルトムントは後ろからロングフィードを飛ばすと全体を上げてプレッシングをかけた。

dss20161124008myboard.jpg

そのプレスがバイエルンからミスを誘ったこともあり、
ショートカウンターを仕掛けた後半のドルトムントは再び勢いを取り戻していたように思う。


止まらなかったプレッシング

バイエルンがドルトムントのプレスを回避するためにロングフィードを用いている間は
ほぼドルトムントの思惑通りになっていたように思う。

しかしながら、バイエルンが蹴り出すことを止め後ろから繋いでくるようになると、
5−4−1のドルトムントは1トップに続いて両サイドが前に出てしまうと5−2が露わとなり
「2」の横にボールを置かれてしまうと再びリトリートを余儀なくされる。

ドルトムントが5−4の2ラインで自陣深くまで引くことによって
ボールを持つバイエルンは手前でスペースを得る。

サイドに攻略の糸口を見出したアンチェロッティは
キミヒに代えてダグラス・コスタを右サイドMFとして投入し陣形を4−4−2へと変化させる。

バイエルンの変化の狙いは
前線のレバンドフスキとミュラーを縦関係でなく横並びの2トップにして
ドルトムントからボールを奪いやすくする事とゴール前の迫力を増やす事に加えて、
キミヒを下げてコスタを起用することで左サイドだけでなく右サイドにも明確に人を配置し
サイドからドルトムントディフェンスを攻略することにあったものと思われる。

dss20161124009myboard.jpg

それにより、左サイドからの攻撃に偏っていたバイエルンの攻撃は右サイドも活性化される。

その後のラームからラフィーニャへの交代は
ラームの疲労も考慮して鮮度を上げて推進力を上げようとしたというところだろうか。

ただし、シュールレからエリック・ドゥルムへとスイッチして対応するドルトムントも
全体を上げることを止めずに前からプレスをかけ続けた。

それにより、背後のスペースを使われるところもあったけれども
相手のビルドアップからミスを誘うことにも成功するなど防戦一方になることがなかった。

ミスが散見されるようになったシャビ・アロンソに代えて
バイエルンがレナト・サンチェスを投入したのに対して
ゲッツェに代えてゴンサロ・カストロを投入し蓋をしたドルトムントは、
引かざるを得ない時には自陣ゴール前まで引いて人数をかけた対応をしたものの
ボールを前に運んだらしっかりと全体がラインを上げて前からプレスをかけることを止めなかった。

ドルトムントが1対0という最少スコアでバイエルンから勝利を挙げた要因は
まさにその勇敢なプレスであり、逃げ切ったという内容ではなかったように思う。

相手の攻撃を遅らせてリトリートし、相手の攻撃に備えて人数をかけて対応に当たれば
後ろに人がいなくなる怖さは解消するし、リスク自体を回避できることもあるかもしれない。

しかし、ボールの保持⇒敵陣での予防的守備⇒二次攻撃⇒予防守備⇒三次攻撃⇒…
このサイクルが確立されてきている現代サッカーにおいてはリトリート自体がリスクにもなる。

それが如実に示されたデア・クラシカーであったと思うところで、
ドルトムントの勇敢な姿勢が勝利をもたらしたと言っても過言ではなかったように思う。






banner_22.gif

にほんブログ村 サッカーブログ 海外サッカーへ
にほんブログ村
posted by ピーター・ジョソソン at 14:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ ブンデスリーガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月20日

申し子を手に入れたトゥヘル

「18日間で6試合を消化せよ」

それが国内リーグとチャンピオンズリーグを掛け持つボルシア・ドルトムントに課された今月の日程であり、
その連戦の3戦目に当たるのが今節のダルムシュタット戦でした。

連戦の初戦となった前節のライプツィヒ戦を落としはしましたが、
続くミッドウィークのCLレギア・ワルシャワ戦そして今節のダルムシュタット戦と
共に6−0で圧勝したドルトムントは初戦の躓きを感じさせず勢いさえつけているように感じます。

ライプツィヒ戦の敗戦から一転してドルトムントが上昇カーブを描けた理由は
ラファエル・ゲレイロの高いパフォーマンスにある事はもはや誰の目にも明らかだと思います。

メッシやロナウドのようにひとりで試合を決められる選手ではないにもかかわらず
チームに多大な影響をもたらしているのはなぜなのかを考えていきたいと思います。

dss20160919001myboard.jpg


変化するサイドバックの役割

EURO2016ではポルトガル代表のメンバーとして優勝に貢献し
大会の優秀選手にも選ばれたゲレイロがプレーしていたポジションは左サイドバックです。

サイドバックは従来タッチライン際で走力と持久力を活かして上下動を繰り返す事により
守備面の安定と攻撃面に厚みを与える事を主な役割としていましたが、
プレーする位置はあくまで端っこでその役割は限定的でした。

ところが、組織守備がブラッシュアップされてくると少ない人数だけではゴールを奪う事が難しくなり、
サイドバックは更に踏み込む形で攻撃への参加を求められるようになります。

本来後ろにいたはずのサイドバックの攻撃参加は
マークを難しいものとする事から大きな対価を得るに至りますが、
サイドバックが攻撃参加すれば背後ががら空きになるのは自明の理でもあります。

嵩にかかった攻撃が不発に終わりボールを失えば
たちまち背後に空けたスペースを衝かれて相手からカウンターを受けてしまう。

つまりは、サイドバックの攻撃参加はチャンスとピンチが背中合わせの諸刃の剣でもあり、
そこを解決できない事には片道切符の玉砕戦法になってしまうわけです。


サイドバックで攻撃に厚みを加えた上で如何に相手のカウンターを防ぐか


それがボールを持って攻撃したいチームにとっての課題となるわけですが、
その課題に対して近年新たなアイデアをもたらしたのがペップことジュゼップ・グアルディオラです。

サイドバックの攻撃参加により背後のスペースを衝かれて相手のカウンターとなってしまうのであれば
カウンターを未然に防止してボールを自陣まで運ばせずに敵陣に閉じ込めてしまえばよい。

ボールが常に相手陣内にあれば自陣ゴールを脅かされる危険性がないのだから、
自陣ゴール前でなく相手ゴールに近いところで守備をする。

そのためにはディフェンスラインを上げて、敵陣で予め整然とした配置に就いて
失った直後からプレスをかけて相手を囲める状況を作っておく。

そうして自陣ゴール前で待ち受けるのでなく相手陣内で潰す守備をするようになると、
サイドバックは縦方向への動き、走力と持久力を求められた時代から
異なる役割と能力を求められるようになります。

グアルディオラが最初に率いたバルセロナでは
メッシという絶対的な質的優位を持つ選手が中央に存在した事から、
メッシを自由にするために右サイドのウイングを中に寄せて
空いたウイングのポジションに右サイドバックのダニエウ・アウヴェスを上げると
逆サイドバックのアドリアーノには中に絞らせアンカーの横に並ばせて攻守の両立を図った。

dss20160920002myboard.jpg

その後指揮したバイエルンでは質的優位がサイドのロッベンとリベリーにあった事から
片方だけでなく両サイドバック共にアンカーの横に並べて
中盤中央に数的優位を作り出して攻守の両立を図り、
ロッベンとリベリーが外から中に入ってきたら
渋滞しないよう中央に絞っていたサイドバックは外側に出る。

dss20160920003myboard.jpg

攻守の課題を解決するこのペップのアイデアにより
ほぼ縦方向の上下動に限られていたサイドバックの動きは
サイドの低い位置(サイドバック)→アンカーの横(セントラルMF)→サイドの高い位置(ウイング)と変わり
自身の背後にボールが送られる前に未然に潰す守備へと変化したわけです。

ペップが示したアイデアは伝播し、現在ではバイエルンだけでなく
ドイツのブンデスリーガでプレーする多くのサイドバックがこの動きを取り入れるようになり、
ハンブルクの酒井高徳も日本代表において意識的に実践しているように思います。


両立に駆られたドルトムント

話を戻しますと、ドルトムントもまたボールを持って試合を進める以上は
攻撃に厚みを加えた上で相手からのカウンターを防ぎたく相手陣内にボールを閉じ込めたい、
そこは同じだと思います。

昨シーズン前期には、香川の鮮やかなダイアゴナルパスから
フリーになっている右サイドバックのギンターに通し 中央に折り返されたボールをオバメヤンが押し込む、
世間から「ファンタスティック4」とまで言われ絶賛された華麗な攻撃陣のゴールパターンですが、
その派手なゴールシーンの反面ではギンターの背後に空くスペースからボールを運ばれて失点もしており、
トゥヘルとしては昨シーズン後期そこにメスを入れたかったはずです。

dss20160920004myboard.jpg

昨シーズンのドルトムントの質的優位がどこにあったかと言えば
オバメヤン、ロイス、ミキタリアンで構成する他を圧倒するスピードの3トップであり、
そのスピードを存分に活かすためにも相手の背後にスペースを作りたい。

それには後方でボールを動かすことで相手を手前側に釣り出して引き込みたく、
トップ下の香川の存在というのは
その3トップのスピードを活かすためのスペースを作り出す疑似餌としての役割を期待したので
高い位置でプレーする事を求められたわけです。

dss20160920005myboard.jpg

その3トップのスピードを活かした上で守備の安定を図るためには
ボールを運ばせる事なく未然に潰すために中盤中央に数的優位を作り出したい。

そのためには相手の中盤中央が2人だったらトップ下の香川+セントラルMFで3人にし、
相手が3人だったらどちらか一方のサイドのサイドバックを最終ラインに残して3バック化し
もう片方のサイドバックの位置を上げる事で相手のサイドバックを牽制して
同サイドウイングのロイスをインサイドに送り込んで中盤中央に4人目を作り出す。

dss20160920005exmyboard.jpg

このやり方自体はトゥヘル独自のものだったわけですが
理論的には左右のサイドバックでバランスを取ったという点で
バルセロナ時代のペップの手法と同じだったように思います。


ゲレイロでなくてはならないわけ

昨シーズンのドルトムントで質的優位をもたらしていた3人のうち
今オフにはミキタリアンが移籍しロイスは負傷から復帰する目途が立っていませんが、
代わりに加入したシュールレとデンベレによって
今シーズンのドルトムントには新たな質的優位がもたらされています。

その質的優位は現状ミキタリアンとロイスを凌ぐものとは言えないにしても、
特にデンベレは数シーズン後にはそこまでに育つ期待感はあると思います。

その質的優位となる箇所を攻守両面で支えることになるのが中盤中央における数的優位となりますが、
それらの事象はすべてビルドアップという土台の上に成り立っています。

前線における優位性を獲得するためにはそれぞれが整然とした配置に就かなければならず、
そのためにはスピードと意図を持った事前のパスが必要であることは
以前にも紹介したペップ本に書かれている通りです。

ところが、前節対戦したライプツィヒのように組織守備が機能しプレッシングの強度が強ければ
ドルトムントの土台となるはずのビルドアップ部分から揺らいでしまいます。

トゥヘルはライプツィヒ戦後に
「ディフェンスラインや中盤でミスが多かった。集中力を欠いていた」とコメントしているように
ドルトムントの選手に対しては更に高いレベルのプレーをイメージして要求していますが、
相手のプレッシング強度が強ければボールを動かすところに不安は出てきます。

今シーズンは繋げるセンターバックだったフメルスが移籍し、
決して足元がうまいとは言えないソクラティスと加入したばかりのバルトラでは
事前のパスのクオリティが十分でないところはあると感じますが、
その不安を取り払ってくれる存在として浮上してきたのがゲレイロなのだと思います。

ゲレイロが中盤中央からサイドバックの位置に下がってビルドアップに寄与する事で
ドルトムントは事前のパスを安定的に機能させる事ができる。

dss20160920006myboard.jpg

しかし、前線の選手が後ろにまで下がってボールを捌くのであれば
インサイドを主戦場とする香川やゲッツェでも同じ仕事ができるはずですが、
決定的に異なるのは下がってもなお整然とした配置に就けているかどうかであり
言ってみればマルチロールの選手かそうでないかという違いだと思います。

ビルドアップに不安があるからといってひとりが後ろに下がってしまえば前線の枚数は減ります。

ボールを動かす選手を増やす事でボールは回るようになるかもしれませんが、
それはボールを使って相手の整った守備バランスを乱しているのではなく
ボールを動かすために自らの配置を乱している事になるわけで
結果として事前のパスで自らが整然とした配置に就くという目的を阻害してもいるわけです。

dss20160920007myboard.jpg

それが昨シーズン後期にトゥヘルが香川に下がらないよう求めたもう一つの理由だと思いますが、
香川やゲッツェと違ってゲレイロの場合は本来がサイドバックの選手であるため
整然とした配置を阻害しないままにビルドアップに安定をもたらすことができます。

インサイドのゲレイロが下がったならば
ウイング(デンベレorシュールレ)がインサイドに下りる事で中盤中央での数的優位を確保し、
それに伴ってサイドバックだったシュメルツァーは更にポジショニングを上げる。

dss20160920008myboard.jpg

ウイング化したシュメルツァーで相手のサイドバックを外に引っ張る事ができたならば
その背後に空くスペースをブロック間へと移動していたウイング(デンベレorシュールレ)が衝く。

dss20160920008exmyboard.jpg

ウイングが前方へとランニングをかける事で空いたブロック間には
再びゲレイロが戻るために中盤中央での数的優位はやはり失われず、
ウイング化していたシュメルツァーもサイドバックへと戻る事で守備の安定が図れます。

dss20160920008ex2myboard.jpg

ビルドアップに寄与する低い位置、サイドの高い位置、ブロック間、と
3つのポジションを流動的に移動する選手を1つのユニット化し
循環させる事であらゆる局面で優位性を確保する。

そうして攻守を両立させるのがトゥヘル・サッカーのひとつの側面であり、
そのサッカーを実現させる存在がゲレイロであるからこそチームに与えた影響も大きかったわけです。


天敵5バックを攻略するプランB

ドルトムントのポジション循環が機能しサイドバックの背後を取って突破できれば、
中央からサイドに引っ張り出されることになる相手の守備は
ゴール前で数的優位を作る事が困難になり崩壊するのは時間の問題となります。

レギア・ワルシャワ戦、続くダルムシュタット戦と
スターティングからゲレイロを起用した事とドルトムントが大量のゴールを挙げた事は
もちろん個々の選手のパフォーマンスが良かった事もありますが全くの偶然ではなかったわけです。

但し、4−1−4−1の布陣で臨んできたレギア・ワルシャワ戦では
前半早々からゴールを重ねて計6ゴールを挙げたのに対して、
5−4−1の布陣で臨んできたダルムシュタットに対しては
ドルトムントは結果的には同じ6ゴールを挙げているものの
前半に挙げたゴールはカウンターからの1ゴールに留まっていたように
その中身を見れば同じようで同じでないことが分かります。

レギア・ワルシャワ戦では試合開始からゴールを量産したドルトムントが
ダルムシュタット戦では前半の間に先制できてはいるもののその後はなかなか追加点を挙げられなかった、
その原因はレギア・ワルシャワがザルだったからでもダルムシュタットの守備が粘り強かったからでもなく
相手の布陣に4バックと5バックの違いがあったからだと思います。

相手が4バックであれば、
サイドの高い位置の選手で相手のサイドバックを外に引きつけてその背後にスペースを作ったら
スペースランニングをかける事で中盤中央から相手の選手を排除してバイタルにスペースを生み
あっという間にチェックメイトの状態を作り上げる事ができる。

dss20160920009myboard.jpg

しかし、相手が5バックとなると、仮に同じことをしたとしても
相手の1人多いセンターバックがサイドバック裏のスペースをカバーしてしまうため
バイタルからも相手が消えずに効果が上がりにくいわけです。

dss20160920009exmyboard.jpg

アトレティコ・マドリーのように4バックの完成度が高かったりすればまた別ですが、
ペップ・モデルのポゼッションサッカーに対峙したチームの多くは
自らの攻撃の枚数を削ってでも守備の枚数を増やす決断に至っています。

シミュレーションしてみればあっという間に崩される未来が想像できてしまうからで
守備の枚数を増やすのはやむを得ない。

ダルムシュタットも攻撃を削って5バックを採用する事によって
ドルトムントに圧倒的にボールを支配される展開ながらも1失点に留めており、
失点のプロセスもポゼッションからではなくカウンターからでした。

守備が整えられている時には失点しなかったのですから、
カウンターからの失点さえなければ
ダルムシュタットにとって計算通りの試合だったと言えるのかもしれません。

しかしながら、そのカウンターでの1点のビハインドから
ゴールを取らなくてはならない状況に陥ったダルムシュタットは
後半になって今度は守備の枚数をひとり削って攻撃にかける人数を増やすために
4−4−1−1の陣形へと変更を施しています。

5バックから4バックへと変更されることで
最終ラインのところでのセンターバックによるカバーリングが機能しなければ、
レギア・ワルシャワと同じ結末となることが不可避だった事は
後半のドルトムントの5ゴールからも理解できると思います。

おそらくドルトムントがカウンターから先制していなければ
ダルムシュタットはアウェイだったこともあり後半も5バックを継続して
最悪スコアレスドローで試合を終える選択肢もあったはずですが、
失点してしまった事でその選択が取れなくなった。

ダルムシュタットにそうした選択肢を取らせなかったのは
ドルトムントがボールを持って攻撃しながらも守備を両立させて相手のカウンターの芽を摘んでいた事と
ボール保持からゴールが取れなくともカウンターからゴールを奪えた事があり、
今もなおユルゲン・クロップの遺産がドルトムントの助けになっていると感じます。


気になるドルトムントと香川真司の今後

ゲレイロがフィットし始めて機能性の増したドルトムントを止めようとしたら
相手にとってかなり厄介な作業になると感じます。

ドルトムントと対峙するチームの指揮官は
自らのチームの攻撃の枚数を削ってでも守備の枚数を増やさざるを得ない。

これまでペップ・バイエルンと対峙したチームがそうであったように
トゥヘル・ドルトムントと対峙したチームもまたそうした決断に迫られるように思います。

逆にドルトムントからすると、主力が移籍しチームの再編が求められていた中で
新戦力が予定通りか予想より早かったのかそれとも想像以上だったのかは分かりませんが
フィットしたことで王者バイエルンの迎撃も期待できる状態になってきたと言えるのではないでしょうか。

主力の抜けたドルトムントが対立軸として存在できるポテンシャルがあることを示した事は
開幕して間もない今の時点で既に1強が濃厚だったブンデスリーガのタイトルレースを
興味深いものにしてくれると思います。

日本人としてはそこに香川真司が食い込めるのかが気になるところではありますが、
現状は日本代表招集からのコンディション不良により出遅れて
その間にゲレイロに出し抜けを食らった感は否めず、
左のインサイドハーフのゲレイロとは逆の右のインサイドハーフを
カストロ、ゲッツェと三つ巴で争うような状況になっているようにも感じます。

香川にカストロにゲッツェと、これまで主力級だった選手達を控えに回すほどに
マルチロールのゲレイロのパフォーマンスは衝撃的だったと言えます。

但し、過密日程の中シーズン通して選手を絶えず固定して起用する事はできないので、
セントラルMFタイプのカストロそしてローデを起用する試合もあるでしょうし、
中盤の底が1枚から2枚となれば香川とゲッツェを抱えている事から
トップ下のポジションを採用する機会も出てくるだろうと思います。

必ず巡ってくるであろう機会を活かすことができるかどうかが香川には問われるところで
出場できるようにトレーニングをし出場機会を得たらその成果を出す事は
過去においても現在においても変わりはないと思います。

ただ、新戦力の強烈なパフォーマンスによって
競争が熾烈でよりシビアなものになったことは間違いないのではないでしょうか。






banner_22.gif

にほんブログ村 サッカーブログ 海外サッカーへ
にほんブログ村
posted by ピーター・ジョソソン at 15:24 | Comment(2) | TrackBack(0) | ドイツ ブンデスリーガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする