2017年01月25日

想定内か想定外か 一転したレスターの立ち位置

既にシーズンの半分以上の試合を消化しているにもかかわらず
15位に甘んじている昨シーズンのプレミア王者レスターシティ。

ミラクルを起こした昨シーズンとは打って変わって
今シーズンは真下に降格圏の迫る厳しい冬を迎えている。

周囲からマークされる立場へ変貌している事や
チャンピオンズリーグとの掛け持ちによる試合数増加の負担を負っている事からすれば、
レスターの今シーズンが難しいものになるであろうことは予測されていたもののその振れ幅は小さくない。

昨シーズン頂点まで上り詰めながらも今シーズンは降格に迫られる、
たったの1シーズンでレスターがどうしてここまで変わってしまったのか考えてみたい。


「ミラクル」と呼ばれる快進撃を見せた昨シーズンのチームの中で
驚異的な決定力を見せたのがFWジェイミー・ヴァーディと右SMFリヤド・マレズ。

突如彗星のように現れゴールを重ねる2人のゴールゲッターの活躍は
チームを勝利に導くと共に一躍プレミアリーグの主役へと押し上げた。

昨シーズンにヴァーディとマレズの挙げたゴールの合計は
チームの総得点68の実に6割にも及んでおり、
2人の活躍なくしてレスターの躍進は無かったと言って過言ではない。

ところが、注目の的となった彼らも
今シーズンは直近のサウサンプトン戦を消化した22試合を終えた段階で
ヴァーディが5ゴールにマレズが3ゴールと、
共にプレミアリーグの得点ランキングを争った姿とは異なり、少ないゴール数に収まっている。

チャンピオンズリーグとの掛け持ちによるターンオーバーや
マレズのアフリカ選手権参加で共に出場時間は昨シーズンから減らしているものの、
6割を占めていた2人の得点力の低下は当然チームの浮沈を左右するわけで
今シーズンここまでレスターの順位が上がっていかないのは必然だと言える。

しかしながら、レスター不振の要因を
ヴァーディとマレズの得点力の低下だけに求めることはできない。

なぜなら、昨シーズンと比較して今シーズンのレスターは
2人の得点力の低下以上に失点の数を飛躍的に増やしているからだ。

昨シーズン全38試合において36だった失点数は
今シーズンは22節終了段階で既に昨シーズンを超える37にまで上っており、
1試合平均1失点にも満たなかった堅守は破綻している。

レスターがボールの保持をベースとしたチームではなく
相手に持たせたボールを奪うところからゲームをスタートさせる事からすれば、
この守備の破綻こそがレスターの順位を下位へと押しやっているのだと言えるところがある。


昨シーズン堅守を築いたレスターは、
ボールが敵陣にあるときにはコントロールさせないように
相手のボールホルダーには絶え間なくプレッシャーを与え、
連動してプレッシャーをかけ続けるのが難しいと判断したらその守備位置を下げている。

高い位置でのプレスと低い位置でのコンパクトなブロックと
その中間に位置するハーフウェイでセットする守備、
それぞれの位置ではボールを奪う事に注力しながらも
相手のボールの位置や状況に合わせて守備位置を変えられる柔軟性を強みとしている。

その中でもレスターの守備の特徴と言えるのが、
自陣に引いた際に一般的には低過ぎると考えられる程に深くまでディフェンスラインを下げることにある。

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レスターも基本的にはディフェンスラインは中〜高くしており、あくまで必要に応じてではあるが、
自陣に引いたレスターがディフェンスラインを低くするのは
CBのロベルト・フートとウェズ・モーガンにスピードが欠けているからであり、
カバーしなければならない背後のスペースをより小さくするためだ。

だからこそ、守備位置を高くして背後にスペースが広がっているときには
相手のボールホルダーに対してプレッシャーをかけ続けてボールの出処をクローズドしておく必要があるし、
それが無理なら速やかに守備位置を下げる判断が必要になる。

守備位置を下げて相手を自陣に招き入れれば失点のリスクをより高くするが、
そのリスクを回避するためにレスターが武器としているのが
チーム全体が深くまで引いて作り出すコンパクトな陣形だ。

選手同士の間隔をコンパクトにしてスペースを狭めると、
ラインを上げ下げしながらプレッシャーをかけ
相手からミスを誘発させてボールを取り上げる。

最終ラインの選手だけでなく2列目より前の選手も深くまで引いて低い位置にも人を集め、
コンパクトな陣形を形成することにより相手の攻撃から身を守っている。

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敵陣から自陣深くに至るまでを広くカバーするにはそれ相応の運動量が必要になるが、
レスターはそれぞれの選手がチームプレイヤーに徹することで全員守備を実現する。

ただし、チーム全体が自陣深くまで引いてしまえば
相手ゴールとの距離を遠くして守備から反撃へと移る事を困難にする。

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その部分を解決したのが昨シーズンのヴァーディとマレズの活躍であり、
彼らの有するスピードと運動量とテクニックは少ない人数でのボールキープを実現し
自陣低い位置での守備からボールと共に敵陣へとエスケープする事を可能にした。

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敵陣へとボールを運んだレスターは
前線の選手がタメている間に後ろからの押し上げを図る。

この後ろからの押し上げはレスターの攻撃に厚みをもたらすと共に、
ボールを失った直後の敵陣での守備へのスムーズな移行を可能にし
全員攻撃からその位置を敵陣へと変えた全員守備のサイクルを作り上げる。

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現マンチェスターシティ監督のジュゼップ・グアルディオラの作り上げるチームが
15本の事前のパスと言われる後方からのショートパスで攻守のサイクルを作っているとしたら
クラウディオ・ラニエリのレスターではポジティブ・トランジションがその役割を果たしており、
攻守を良い形で循環させるためにも
ポジティブ・トランジションの可否がレスターにとって試合を支配する要件になる。


しかしながら、今シーズンのレスター不振の原因はおそらくそこではない。

ヴァーディとマレズによって解決を図れたポジティブ・トランジションの前後を挟み込む
「低い位置でのブロック守備」と「敵陣でのプレス守備」、
本来レスターのベースとなっているはずのこの守備面で問題を抱えているように見える。

レスターは昨シーズンと今シーズンとで守備のやり方をほぼ変えていない。

にも関わらず異なる結果が出されるのは、
昨シーズンと今シーズンの試合を見比べれば一目瞭然
不可欠だった選手を欠いているからだ。

オフにチェルシーへと移籍したエンゴロ・カンテの存在は
昨シーズンのレスター躍進のキーになっていた。

その貢献度が高かった事は、
インターセプト数にタックル数といったボール奪取のパーソナルデータにおいて
プレミアリーグでもトップクラスの数値を叩き出していた事が既に証明している。

今シーズンのレスターの失点シーンを集めるとその大半は3つのパターンに集約できる。

@サイドを起点とした流れの中からによるもの
Aコーナーキックからによるもの
B後方からのロングフィード1本によるもの

その中でも群を抜いて多いのが、@のサイドを起点としたものだ。

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低い位置で守備をするレスターの武器は全員守備で作るコンパクトな陣形ではあるが、
コンパクトな陣形は一定のスペースを圧縮するためにそれ以外の箇所にスペースを作る。

レスターが優先して狭めるスペースは
当然ながらゴールへの最短距離となる中央であるので、
中を固める分サイドにはスペースが生まれやすい。

時間とスペースを与えないようボールサイドに寄せながらも相手に素早く逆サイドへ展開されてしまうと、
かえって逆サイドで相手に時間とスペースを与え起点を作られやすくなる。

カンテのいた昨シーズンも
前線からプレスを利かせられずにサイドに起点を作られる事は多々あった。

しかし、敵陣あるいはハーフウェイにおいて
アグレッシブにプレッシャーをかけてボールにチャレンジしているため、
相手のボールキープのハードルを上げて
より高い位置でのボール回収を可能にして低い位置での守備機会を減らしていた。

また低い位置での守備においては
相手のボールホルダーに対する速い寄せと
空いたスペースを埋めるカンテの運動量はレスターを失点から遠ざけた。

ところが、カンテを欠く今シーズンのレスターは
敵陣やハーフウェイでプレス守備をしても嵌らない事も多く、
自陣への侵入機会を増やしてサイドチェンジを許しサイドに起点を作られると
バイタルを十分にプロテクトできない現実がある。

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起点を作られたサイドから縦に突破されてクロスボールを折り返されると
バイタルエリアを埋め切れていないためにCBが跳ね返してもそのこぼれ球を拾えず、
左右に揺さぶられてから中央へとカットインされると侵入を止められない。

全員守備を実現することで成り立っていると思われたレスターの堅守は
実際にはかなりの部分をカンテに依存していたと言える。


そのカンテの穴を埋めようとラニエリは試行錯誤をしているように感じるが、
シーズン半ばを過ぎた現段階においてもレスターは未だ最適解を導き出せていない。

CMFの組み合わせを変えたり、中盤の枚数を増やすも、
人と配置を変えるたけでは解決しない。

それならばサイドMFの位置を下げる事でプロテクトしたいところであるが、
SMFマレズに過度な守備の負担を強いれば得点への期待値を著しく下げ
トップのヴァーディを孤立させることに繋がる。

守備負担を取り除いたマレズのトップ下での起用が両方を叶える折衷策であるようには感じるが、
試合数を増やしている中では選手のやりくりに追われ、継続してトップ下起用できない事情もある。

そうしてあれこれといじりながらも改善の見られない状況は
まさしくティンカーマンの異名を取ったかつての姿が蘇る。

だからといってプレミアリーグを制す程のチームを作り上げたその手腕が否定されるものではなく、
様々なアイデアを駆使することでいつかは課題を解決する出口が見つかるはずだ。

しかしながら、その一方でラニエリ自身は
開幕時から一貫して「目標は勝ち点40」だと、低い目標設定を言い続けている。

タイトルを獲得して浮かれる選手と周囲に自制を促すための
謙虚さから発せられたのだと思っていたが、
それが裏表のないリアルな目標だったのだとしたら
選手の意欲との間にある微妙な意識のズレが気になるところではある。






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2016年12月14日

レスターを蘇えらせたラニエリ采配とマン・シティの不安定な最終ライン

ミラクルと言われた昨シーズンから一転して今シーズンは降格圏でもがくレスターシティが
ホームにマンチェスター・シティを迎えた第15節の試合。

レスターはダニー・ドリンクウォーターを累積警告で欠いているのと
期待の岡崎慎司はベンチからスタートとなっている。

マン・シティの方は前節のチェルシー戦で退場処分を受けた影響により
エースのセルヒオ・アグエロとフェルナンジーニョが今節から出場停止処分、
ニコラス・オタメンディが累積で出場停止となっている。

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序盤のマン・シティに欠けていたサイドチェンジ

堅守からの速攻を武器とするレスターと
ボール保持に基づいたスタイルのマン・シティの対戦となれば
試合がどのように展開されるかは想像に難くない。

コンパクトに保ったブロックを構築するレスターを前にして
ボールを保持したら繋いで前進しようとするマン・シティ、
この構図はレスターのホームで行われた試合でも作り上げられることになる。

ブロックを作ったレスターは選手間の間隔を一定の距離に保ちながら
マン・シティが動かすボールに合わせて全体をスライドさせて対応することで、
クサビとなる縦パスの入ってくる中央コースを小さくして
マン・シティのミスを待つ、ミスを誘うことによりボールを奪う機会を窺う。

ボールを保持するマン・シティとしては
ボールを動かすことでレスターの選手を動かして相手ゴールに向かって前進し、
仮にその途中でボールをロストしてもすぐに奪い返して再攻撃へと繋げられるよう
ボールを動かしながら優位なポジショニングを取っておきたい。

マン・シティはボールを保持して前進させる際には
ベースとなる4ー1ー4ー1の布陣を3ー4−2ー1へと変化させている。

4バックの左サイドのアレクサンダル・コラロフをCBと共に後ろに残すと、
右サイドを務めるパブロ・サバレタの位置を上げて
アンカーのフェルナンド・レゲスと並べることにより形作っている。

マン・シティはボールを動かす始点である後方を3バックにし
レスターの2トップに対して数的優位の状況にすることによりボールを動かしやすくする。

また、レスターの2トップと4ー4のブロックの間にはフェルナンドとサバレタを、
ワイドに開いた左右にケヴィン・デ・ブルイネとヘスス・ナヴァスをそれぞれ配置することで、
コンパクトなレスターの選手間の距離を拡げると、
拡げた選手間でインサイドのダビド・シルバとイルカイ・ギュンドアンにボールを受けさせる。

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ブロック間でボールを受けようとすることで相手が中を閉じればサイドが空き、
サイドでボールを受けようとすることで相手を外に引き出せばインサイドもしくは相手の背後が空く。

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4−1−4−1のマン・シティが変化させた3−4−2−1の布陣は
レスターの4ー4ー2の布陣を前にしてボールを動かすには非常に理に適っていると言える。

ただし、4−4−2の10人が一体となるレスターのスライド守備は
それを簡単には許さない。

後方との距離をコンパクトに保ちながらも
精力的にボールへのチェイシングをする2トップのジェイミー・ヴァーディとイスラム・スリマニ。

その後方の4−4のブロックは2トップに連動して中央ルートを封鎖すると、
アウトサイドに全体を素早くスライドさせてマン・シティから時間とスペースを削る。

レスターの素早いスライド守備によって中央とサイドに蓋をされるマン・シティは
ボールを前に運ぶためのルートを失うことになる。

しかし、レスターがボールに対して全体をスライドさせて距離を詰めてくるのであれば、
マン・シティはボールと反対のサイドに広がっているオープンスペースへと運ぶことでチャンスとなるはず。

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ところが、サイドチェンジするだけの展開力に欠けていたこの試合の序盤のマン・シティは
反対サイドにボールを運ぶのに時間を要した。

タッチラインを背にするサイドアタッカーが仕掛けるためには時間とスペースを必要とするが、
その時間とスペースが削り取られることで仕掛けられないアタッカーは
ボールを失わないために後ろに戻すようになる。

自陣に籠るだけの守備にしたくないレスターは徐々にボールを奪う位置を上げてくるため、
マン・シティはボールを動かすために使っていた後方のスペースも徐々に狭められる。

危険な場所でボールを失いたくないマン・シティが前方にボールを蹴り出すようになると
どちらのものでもないイーブンボールとなるが、これを制したのはレスターだった。

前線からのプレスに伴って全体を押し上げてスペースを圧縮すると
後ろから跳ね返したボールもまたイーブンボールとなるが、
レスターはボールの落下点にいち早く反応することにより守備の整わないマン・シティを制した。

最も速くボールに触れたマレズからボールを受けたスリマニのスルーパスに対して
ジェイミー・ヴァーディが抜け出してゴールを決めたレスターが早々に先制する。

この試合開始から3分と経たない間の先制劇を振り返れば、
レスターの前線から連動するディフェンスとイーブンボールへの反応が
マン・シティのそれと比較して上回っていたと言えるが、
相手をボールに引きつけたところでサイドチェンジが打てず
オープンスペースへとボールを運べなかった点で
マン・シティ自身のパフォーマンスに疑問も感じるところ。


露出する高さ問題

先制されたといっても、まだ試合は始まったばかりである。

残されている時間を考えればマン・シティには反撃する機会は膨大にあったが、
直後に生まれたのはレスターの追加点だった。

この試合を読み解くためのひとつのポイントとして
マン・シティの主力選手の出場停止というファクターがある。

中盤の底を務めるドリンクウォーターを累積による出場停止で欠いていただけのレスターに対して、
マン・シティは前節に退場処分を受けたアグエロとフェルナンジーニョに加えて
オタメンディの3人を累積警告で欠いている。

マン・シティにとってアグエロの不在は、相手に与える脅威の部分で痛手だったが、
オタメンディの不在をバカリ・サニャで補ったことにより
マン・シティはこの試合で高さも失ってしまっている。

レスターは高さを失ったマン・シティのウィークポイントを曝け出すように、
ヴァーディとともにスリマニを起用して高さ勝負を挑んでいる。

身長188cmのジョン・ストーンズと187cmのコラロフを避けて
176cmのサニャと173cmのサバレタの右サイドに
188cmのスリマニと178cmのヴァーディをぶつけてハイボールを供給するため、
両チーム間に横たわる高さのギャップが露わになる。

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身長差を利用してハイボールを蹴り出すことで敵陣までボールを届けられるレスターは
空中からボールを運ぶために自陣でマン・シティのプレスの餌食にならない。

敵陣深くまでボールを運び左サイドでスローインの機会を得たレスターは
クリスティアン・フクスがゴール前にロングスローを投げ入れる。

その際CBロベルト・フートが躊躇なくゴール前まで上がってくると、
スリマニの対応だけでも苦慮に瀕しているマン・シティにとって
190cmを超えるセンターバックの存在はカオスでしかない。

185cmのフェルナンド・レゲスとサバレタとで挟み込むようにして対応しながらも
空中戦におけるフートを制御することはできずにマン・シティのゴール前へとボールが送られると、
スリマニから下げられたボールをフリーで受けた
アンディ・キングのミドルシュートが鮮やかに決まってレスターは追加点を挙げるに至った。

キングのミドルは素晴らしいものであったが、
ゴール前のスリマニに対して自由を与えたマン・シティの対応は温かったと言わざるを得ず
失点はその罰を受けたと言える。

ただし、オタメンディに代わってサニャを起用する以上は
高さが欠如することは予め分かっていたはずであり、
マン・シティは高さの勝負となるような場面自体を数多く作らせたくなかったのだろうと思う。

ボールを持ったら前進させながら整然とした配置に付くことを実現し
失ってもすぐに回収するサイクルを作り上げてボール支配を高めたかったところだったが、
前提であるそのサイクルの構築に失敗したことにより相手にボールを渡した結果
ウィークポイントである高さの欠如を露呈させたように思う。

この2失点で留めておけば勝敗に対して可能性は残していたと思うが、
マン・シティは前半更に失点を重ねている。

コラロフから出されたクサビとなるパスが主審に当たってコースが変わると、
偶発的に相手にボールが渡ったことにより
マン・シティは敵陣でのボール回収どころかプレッシャーもかけられずに
ボールホルダーとなったフクスに自由を与える。

自陣でフリーとなったフクスからピンポイントで
マン・シティディフェンスの背後へと飛び出したマレズへとロングフィードが送られると、
センターサークル付近で帰陣を試みたコラロフをヴァーディが体を当ててブロックしたため、
マン・シティはその対応に中央からストーンズがサイドに引き出される。

その動きを見たマレズがボールをダイレクトでストーンズの背後へコントロールすると
体をぶつけられてカバーの遅れるコラロフを尻目にヴァーディが走り勝ち、
飛び出してきたGKをかわして無人のゴールに流し込みレスターが3点目を挙げている。

パスを主審に当ててしまったコラロフには想像力が足りていなかったようにも思えるが
それ自体は偶発であり責められるものではないと思う。

しかしながら、レスターはボールを奪ったらすぐに背後に飛び出すと
その背後に飛び出した選手をしっかりとサポートできており、
両チームの攻守の切り替えに対する意識の違いもスコアに反映されたように思う。


実験か?温存か?良くも悪くも型に嵌らなかったペップ采配

レスターに3点目が入って以降のマン・シティはボールを持ったら素早く動かすことに加えて、
精度はあまり高くなかったものの
試合の序盤には乏しかったサイドチェンジを用いるようになって攻撃を活性化させている。

また、その場でボールを回収するサイクルを作り上げることで
ボールポゼッションを更に高めている。

そのパーセンテージは8割にも迫ろうかというものだったものの、
前半の間に反撃の狼煙となるゴールを挙げるまでには至らなかった。

そこで、3点のビハインドを追うこととなったマン・シティは、
選手交代しないまま配置だけを変えて後半に入っている。

左サイドだったデ・ブルイネをインサイドに移すと
インサイドをダビド・シルバを頂点にしたダイヤモンド型の陣形にし、
それに伴って右サイドだったヘスス・ナヴァスを左サイドに持ってきている。

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その配置換えは、枚数を増やした中央からの崩しを増やす事と同時に
失った直後のボール回収効率を上げる事を期待したのではないかと思う。

サイドから縦に突破してクロスを上げたとしても、
高さのあるレスターのCBを相手にしてのハイボールのクロスは分が悪ければ、
グラウンダーのクロスばかりを狙っていてもコースを読まれる。

それならば、中央に選手を多く配して
選手間の距離を縮めた中でコンビネーションプレーからゴールを伺い、
例えそれが失敗しても中央で作り上げている数的優位を使ってすぐに回収して
再攻撃へと繋げようとしたのではないかと思われる。

ただし、中央から圧力を強める後半のマン・シティに対してレスターも中を閉じるため、
マン・シティがボールを失わないようにキープしながら動かそうとすれば
スペースの空いているサイドにボールを置くようになる。

後半のマン・シティの布陣は
右サイドから移ってきたナヴァスが左サイドで高い位置を取ってボールに絡むために、
明確に高い位置に人を配置していない右サイドがオープンスペースとなりやすい。

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右SBのサバレタが位置を上げてくることによってオープンスペースを使うと、
マン・シティはそこからアーリー気味のクロスボールを入れたり、
インサイドにポジションを移したデ・ブルイネらがサイドに流れて
ショートパスからのコンビネーションプレーを使って崩し作業に絡んでいく。

それでもボールをゴールに押し込めないマン・シティは
ナヴァスに代えてラヒム・スターリングを投入するとともに
イヘアナチョに代えてヤヤ・トゥーレを投入、
ヤヤ・トゥーレをワントップに据える大胆なコンバートを披露する。

それが機能していたかと言えば機能はしておらず、
後にはプレー精度を欠いていたギュンドアンに代えてノリートを投入する際
ヤヤ・トゥーレの位置を1列下げている。

点差が開いたままだったので
マン・シティには多少の諦めムードや実験的要素も含まれていたようには感じるが、
カメレオンのように変化させた陣形から繰り出される後半の攻撃は猛攻と呼べるものではあったように思う。


「最高のレスター」に導いたラニエリ采配

時折ゴールを脅かすカウンターアタックを披露していたレスターも
後半は確実に自陣に押し込まれる時間を長くする。

そうした状況を打開するためにレスターが最初に切ったカードは
スリマニに代えて岡崎の投入だった。

ボールを持つマン・シティの猛攻に対して、
レスターは疲労から前半のようにはチェイスできずに
コンパクトさを保って相手のミスを待つ状況になっていたことから、
もう一度前線からボールを追い回すことによって
マン・シティからミスを誘える状況を作り出そうとしたものと思われる。

投入された直後からボールを追いかける岡崎によって
マン・シティのボールホルダーから再び時間とスペースを削るようになったレスターは
連動してマン・シティからボールを取り上げるとカウンターを発動させる。

そのカウンター自体は不発に終わるも、
ジョン・ストーンズがGKラウル・ブラボへ出したバックパスを狙っていたヴァーディが
ボールを奪い取って角度のないところから流し込んだシュートがゴールに吸い込まれて
ヴァーディがハットトリックを達成する。

劣勢の中で挙げたこの4点目のゴールは
レスターの勝利を確定させるものであったように思う。

3点のリードをして試合を閉めようとするレスターに対して、
マン・シティはその後コラロフが直接フリーキックを決めると
更に試合終了間際にはノリートもゴールを挙げて追い上げたものの焼け石に水。

4−2で逃げ切ったレスターがマン・シティから堂々と勝利を収める結果となった。

今シーズンここまでのレスターは降格圏まで落ちてしまっている順位が示すように、
チャンピオンズリーグとの兼ね合いの難しさも手伝ってチームは低迷を極めている。

しかしながら、昨シーズンの躍進が決してフロックでは片づけられないことを
この勝利は示したように思う。

ヴァーディの得点力さえ戻れば、
カウンターに関しては今でもヨーロッパでトップクラスだろう。

昨シーズン最高だったレスターを取り戻した要因は
ラニエリの采配とマン・シティの最終ラインの不安定なパフォーマンスにある。

普段着でないマン・シティに対して
スリマニのスタメン起用とヴァーディを組み合わせることで高さとスピードで勝負すると、
前線から追える岡崎を途中投入することで相手に傾いた流れを引き寄せた。

その的確な采配は「最高のレスター」を引き出すのに役立ったように思う。

ボールを持ちたいマン・シティにとってカウンターチームはアンチテーゼでもあり、
マン・シティは試合の序盤からパフォーマンスを上げられなかったことで
カウンターに特化するレスターの餌食となってしまった感はある。

そのような展開にしないためにも、マン・シティの最終ラインには
ボールを保持した際の確かなビルドアップとともに展開力が欲しかったところで、
イギリスの「デイリー・ミラー」紙でも指摘されたように
ヤヤ・トゥーレの最終ラインでの起用については試合を見ていて全く同じ感想を抱いた。

ボールを捌けて高さも有しているヤヤ・トゥレを最終ラインで起用できれば
少なくともこの試合で生じた問題については解決できるように思う。

ただし、レスターのヴァーディを始めとするプレミアリーグのスピードスターを相手に
ヤヤ・トゥレが背後に広がるスペースを管理できるのかと言えば不安が残るところで、
伝えられている確執と共にそこへの不安がグアルディオラから選択肢を奪っているようには感じる。






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2016年11月29日

固定するチェルシーを凌駕したトッテナムの連動性 されど勝者はチェルシー

試行錯誤の末に最適解を導き出したように映るチェルシーと
引き分けが多いながらも今シーズン未だ無敗を誇るトッテナム・ホットスパーによる第13節の試合。

好調のチーム同士による対戦は、着実に首位固めをしていきたいチェルシーに対して、
スタンフォード・ブリッジでは26試合勝利がないトッテナムはジンクスを破ることが期待されたところ。

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チェルシーのビルドアップを封じたトッテナムのプレッシング

試合立ち上がりのボールの押し合いが落ち着くと
後方から繋ぎ始めたのはホームのチェルシーだった。

GKティボ・クルトワから
ペナルティボックスを囲むようなポジショニングを取る3人のセンターバックを経由して
ボールを繋ごうとするチェルシー、
それに対して前からプレッシングをかけるトッテナムという構図になった。

右CBのセサル・アスピリクエタを経由させて右からボールを運ぼうとするチェルシーに、
トッテナムはワントップのハリー・ケイン、トップ下のデル・アリで他のCBへのコースを消すと
左SMFソン・フンミンがアスピリクエタへプレッシングをかけた。

相手のビルドアップの人数に合わせたプレッシングは威力を増すと同時に
前に出る人数を増やすことで背後にリスクを抱えるからこそ
後ろは連動してコースを消しておく必要がある。

プレッシングをかけたトッテナムにとってリスクとなるのは
前に出たソン・フンミンの背後である。

dss20161129002myboard.jpg

ワイドに開くWBヴィクター・モーゼスとセンターポジションのエンゴロ・カンテ、
そして前線から下がってくるペドロ・ロドリゲス、
ビルドアップするチェルシーのボールホルダーであるアスピリクエタから
近い位置にいてソン・フンミンの背後を取るこの3人へのパスコースを如何にして奪うかが
まずはトッテナムに問われる事になる。

トッテナムはこの試合、ペドロをSBケヴィン・ビムマーが捕まえると
ワイドに開くモーゼスへのマークはCMFのムサ・デンベレに請け負わせているので、
ヴィクター・ワンヤマがカンテに対応できればチェルシーからパスコースを奪える状況となる。

しかし、ワンヤマが中盤の底でスペースを管理しようとするあまり、
低い位置まで下がってボールを受けるカンテとの距離を開けてしまうと
序盤にはカンテに前を向かれてボールを前方に運ばせてしまっている。

dss20161129003myboard.jpg

修正してワンヤマが距離を詰めるようになると
前を向けなくなったカンテは真横に近いワイドに開くモーゼスへとパスを出している。

苦し紛れであるかのようにモーゼスへと出させたら
トッテナムはマーカーのデンベレが詰めることで追い込めるはずも、
モーゼスは追い込まれる前にダイレクトで最前線のコスタへとボールを送っている。

dss20161129004myboard.jpg

このワイドに開いたサイドからトップへクサビのボールを当てるところから攻撃を展開させるのは
ユヴェントスやイタリア代表を率いていた時代から変わらないアントニオ・コンテのチームの特徴である。

ボールを運ぶルートを予め形式化しておくことによって自陣ゴールに近い危険な位置からボールを出し、
相手のプレスを集めた状況でボールを前に送ることで
前線でボールをキープすることができれば攻撃に移ることを可能にする。

しかしながら、あくまで「前線でキープできれば」の条件が付くものであり、
コンテのチームはこれまでその戦術を機能させるために前線を2トップにしてきた。

2トップにすることによって相手のCBと2対2の数的同数の状況を作りクサビを通りやすくする。

そこに蓋をしたのがコンテがイタリア代表を率いてEURO2016で対戦した際の
ヨアヒム・レーヴ率いるドイツ代表だったという話は脱線になる。

現在率いるチェルシーにおいてコンテは、
エデン・アザールとペドロ・ロドリゲスをシャドーポジションに配置すると
ジエゴ・コスタをワントップに置く布陣に最適解を見出している。

トップが2人ではなく1人となると、
相手の両CBを相手にボールキープを求められるコスタには大きな負担となるし、
コスタに対してはシャドーのアザールもしくはペドロのサポートが必要になってくる。

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しかし、この試合のトッテナムは前からプレッシングをかけると、
背後に広がるスペースを顧みないかのように勇敢にディフェンスラインを上げた。

ヤン・フェルトンゲンがコスタに対して密着マークして自由を奪い
ボールを受けにくい状況を作ってコスタへのクサビのパスを寸断したトッテナムは、
チェルシーからボールを取り上げると素早く前線にボールを供給した。

ボールを前に運べずに下がるチェルシーは中央を締めようとするためにサイドが空き、
サイドを閉じるためにウイングバックが最終ラインまで下がれば5−2の守備陣形となる。

5−2の陣形の「2」の横にスペースができると、
デンベレとワンヤマにボールを戻すことでトッテナムはボールをキープする。

チェルシーはたまらずシャドーのペドロとアザールが下がってくるようになると
5−2だった陣形は5−4となって自陣に押し込められる。

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5−4の2ラインとなって全体の位置が下がるチェルシーディフェンスの前方、
手前側でスペースと時間を得るトッテナムはチェルシー陣内でボールを回し始める。

トッテナムはチェルシーを押し込めているため
ボールを失うことになってもカウンターの起点が絞れていることで
すぐにプレッシャーをかけてボールを回収する。

ボールポゼッションを高めたトッテナムは
その過程でセットプレーを獲得しゴールネットを揺らすも
ケインのオフサイドと判定されゴールは認められなかったが、
その組織的なプレッシングは確実にチェルシーから自由を奪い取っており、
試合の序盤から主導権を握る原動力になっていたと思う。


チェルシーを撤退させたトッテナムの連動するポジショニング

トッテナムのプレッシングによって行く手を阻まれるチェルシーは
ボールの所有者が決まらないイーブンな状況を制することでボールを運び始める。

なかなかボールを前方へと進めることのできない状況を経て
ようやく敵陣へと運んだのであればボールをトッテナム陣内に閉じ込めたいところで、
チェルシーもまた前線からプレスをかけてその場での回収を試みている。

しかしながら、敵陣でのプレスを機能させたトッテナムと違って
チェルシーはリトリートを選択させられる。

チェルシーをリトリートさせたのは、
トッテナムの緻密なポジショニング連動にある。

トッテナムは左SMFソン・フンミンが左サイドのワイドに開いた位置にポジション取りし
チェルシーの右WBモーゼスの出足を鈍らせると、
それに伴ってワントップのケインがWBモーゼスとCBアスピリクエタの間にポジション取りをしている。

そのためモーゼスとアスピリクエタ、
セーフティに守ろうとするダビド・ルイスを足止めする。

その次には右SMFのエリクセンをチェルシーの最終ラインへと突撃させており、
左WBマルコス・アロンソとガリー・ケーヒルの足止めも行っている。

ソン・フンミンとケインとエリクセンの3人によってチェルシーの5バックは釘づけにされると
下がってボールを受けようとするアリに対してのマークが及ばなくなり
アリはフリーの状況でバイタルエリアでボールを受け続けた。

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トッテナムはこのアリを経由することでチェルシーを撤退させる。

ターンして前を向いたアリがドリブルで深く侵入するとチェルシーは更に徹底、
アリからボールを受けたエリクセンがゴールを決めてトッテナムが先制した。

ここのところチェルシーの成績が安定しだした背景には
コンテが起用する選手と陣形選択を見極めて固定させたことが大きな要因となっているように思う。

但し、それが故に試合ごとの変化には乏しいため
対戦する相手からしたらチェルシーの攻守の筋は事前に読みやすくなっていたようにも感じる。

トッテナムの組織的に連動するプレッシングとアリをフリーにした連動するポジショニングは
相手の出方が予め分かっているからこその準備の賜物であったように思うところで、
チェルシーを躍進させた選手と布陣の固定はここでは仇となったように思う。


負のサイクルから抜け出したチェルシー

先制されたチェルシーはビルドアップで手間をかけずにスピードを上げる、
または横幅を広く使ってトッテナムのプレスの集中を避けたり角度をつける、
はたまたロングフィードを用いるなど工夫してボールを運ぶようになる。

しかしながら、ボールを運べるようにはなっても
敵陣でボールを失うとフリーになるアリを制御できずに
クサビとなる縦パスを通されて撤退を余儀なくされる。

自陣に押し込められる5−4の2ラインのチェルシーディフェンスは
カウンター機会を奪われることもありトッテナムにポゼッションする機会を与える。

チェルシーがこの負のサイクルから脱するためには
ネガティブとポジティブ、2つのトランジションを制すことを求められたように思う。

チェルシーが解決を示したのはポジティブ・トランジションの方であり、
寄与したのは攻撃を担う選手の守備への貢献と横幅を使ったボールキープにあったように思う。

5−4の陣形で全体が引くチェルシーは
CMFのカンテとマティッチが最前線で守備対応に当たるも、
前方に広がるスペースの存在と背後のスペース管理の必要性から
ボールを持つトッテナムのCMFデンベレとワンヤマに自由を与える。

しかし、チェルシーは前半終了間際、
その不利な状況にある2対2のセンターポジションに対して
前線から戻ってくるジエゴ・コスタのプレスバックで変化を加えた。

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コスタのプレスバックにより2対2から3対2の状況になったことでボールを奪えたチェルシーは
奪ったボールを細かく繋いでトッテナムのプレスからボールをキープし
ワイドに開くウイングバックへとボールを預けると自陣からのエスケープを果たした。

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敵陣でのプレスと、自陣に下がりながらのカバーに追われて
守備を整え直そうとするトッテナムを尻目に、
チェルシーはボールを左右に動かすことによってボールをキープすると
前半終盤にペドロが決めて同点に追いついた。

4バックのトッテナムは全体が引いてしまうと
ウイングバックが高い位置に上がってくるチェルシーの5トップとの間のギャップを露呈する。

ボールホルダーのマティッチから、ゴールしたペドロへとクサビのパスが入った際にも、
そのギャップを埋めようとしたデンベレがアウトサイドのアロンソへのマークをしようとしている。

1人足りないところを補えば次には中盤に欠損ができることは避けられず、
それだけに引いてはいけなかったけれども引かざるを得なかった。

トッテナムの敗因を探ればそこだろうと思う。


同点ゴールを再現したチェルシー

チェルシーが同点に追いついた一連の流れは
後半早々のチェルシーの逆転ゴールにも再現されている。

その始点のところがコスタのプレスバックでなく
ペドロの中央への絞りによる3対2へと変化しているものの、
2体2の数的状況に変化を加えたことでボールを奪いチェルシーのカウンターが発動している。

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ボールを奪ったチェルシーに対してトッテナムはその場での回収を試みる。

ボールを持ったアザールに対して
マッチアップするカイル・ウォーカーがプレッシャーをかけに前に出てきたため、
チェルシーはその背後にできたスペースへとコスタが流れることによって
ボールとともにエスケープしている。

左サイドの開いた位置からボールを前に運ぼうとするコスタに対して
トッテナムは下がりながらボールサイドにスライドして対応するも、
4バックと5トップのギャップを埋めきれずに逆サイドから上がってきた選手へのマークが及ばず
フリーとなったモーゼスが逆転ゴールを決めている。

4バックのトッテナムにとっては自陣に運ばせるとギャップが厄介にもなることから
敵陣でボールを回収し続けたかったところであるも、
チェルシーはこの試合前半からウォーカーの裏にできるスペースを狙い続けていた。

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ウォーカーは頻繁に攻撃参加をすることに加えて
マーク対象にも食いついてくることから背後にスペースを作りやすく、
チェルシーはトランジションを制した時、またはロングフィードを蹴る際には
必ずといっていいほどウォーカーの背後を衝いている。

逆転されてからのトッテナムはそれを牽制すべく
後半途中からはソン・フンミンを右サイドに移動させている。

前半に左サイドのモーゼスとアスピリクエタを釘付けにした状況を
右サイドでも再現しようとしたように感じるが、
肝心なところでのパスミスもありそれほど効果が上がっているようには見えなかった。

時間の経過とともにトッテナムはハリー・ウィンクス、ジョ−ジ・ゲビン・ヌクドゥ、
終盤にはフィンセント・ヤンセンを投入して2トップにして前掛かりとなる。

しかし、試合開始からのプレッシングはチームに疲労をもたらし、
選手交代は鮮度を上げたものの
前半チェルシーから主導権を奪った連動性は影をひそめた。

それに対するチェルシーはウィリアン、ブラスニフ・イバノビッチ、オスカルと投入すると
割り切って引いてカウンター狙いへとシフトする。

こちらもチャンスは作るもゴールには至らなかったものの
トッテナムにゴールを与えることなく試合を締めて2−1でチェルシーが勝利する結果となった。

組織としての連動性という部分ではトッテナムに分があったように思うし
前半は試合を完全に支配していたといって過言ではない内容だったと思う。

それだけに、チェルシー勝利の結果は
逆にチェルシーの勢いに裏打ちされたものだけでない強さと試合巧者ぶりを際立たせたように感じる。






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posted by ピーター・ジョソソン at 17:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | イングランド プレミアリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする