2016年09月27日

鉈を揮ったモウリーニョ

デイヴィッド・モイーズ就任以来の混迷期にあるマンチェスター・ユナイテッド。

混迷期を抜け出す解決策として投入したルイス・ファン・ハールによって
チームに規律はもたさらされたものの、就任2シーズンで収めたパッとしない成績と
作り上げた「つまらない」スタイルは見ている者を飽きさせたように感じます。

その後任として今シーズン新たに抜擢されたジョゼ・モウリーニョは
ひと言で言ってしまえば「勝つことに特化したリアリスト」。

個の能力に優れた選手をまとめ上げて早期に結果を出してきたのがこれまでのモウリーニョでありますから
ユナイテッドもまたその手腕を期待してチームを託したのだろうと思いますが、
注目を集めたマンチェスター・ダービーでの敗戦を皮切りにユナイテッドは公式戦で3連敗。

ミッドウィークのリーグカップでこそ連敗は止めるも
その存在価値が揺らぎかねない状況が現在だと思います。

短期的な解決に迫られる中でモウリーニョがどう動いてきたか、
レスターシティとの試合を通して見ていきます。

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変化が必要だったユナイテッド

負けの許されないホームでの試合において
モウリーニョが決断したのはキャプテンのウェイン・ルーニー外しでした。

低調なパフォーマンスの続くルーニーに対しては周囲からも外すべきとの声が出ていたわけですが、
選手のリーダーであるキャプテンを外すことがチームに与える影響を考慮すれば
その判断は簡単なものではなかったはずです。

モウリーニョはレスターとの試合後の会見で、
「キャプテンはどこにいてもキャプテンだ」とコメントして
ルーニーへの信頼が変わらないことをアピールしてはいますが、
責任を与えたはずの選手を自らの手でピッチから取り除かねばならなかった
その矛盾を思えば苦しい胸の内が透けて見えます。

しかしながら、ユナイテッドはこの試合を落とす事にでもなれば
それどころではなくなるというのが現実で、
キャプテンがピッチ上に居ようが居まいがレスターから勝利を挙げる必要がありました。

レスターに勝利するためにはコンパクトなブロックを攻略してゴールを奪わければなりませんし
相手の鋭いカウンターを封じなければならない。

そこで、レスターと対戦するに当たってモウリーニョが用意したプランは
左サイド(レスターの右サイド)から攻略の糸口を手繰ること」だったように思います。

そのキーマンとして負傷したルーク・ショーに代わって
ダレイ・ブリントを左サイドバックで起用しています。

これまでのように左サイドバックがショーであるならば
右のSBアントニオ・ヴァレンシアともにスピードが持ち味のタイプであることから、
下手に後ろからは繋がず蹴ってしまうべきだと思います。

現在のユナイテッドが前線にズラタン・イブラヒモビッチ、中盤にポール・ポグバ、
そしてこの試合では出場機会のなかったマルアン・フェライニと
190cmを超える選手を揃えてフィジカル的にも戦える陣容を揃えていることと
レスターの組織的なプレッシングを照らせば、
蹴ってしまった方がマイボールになる確率が高ければリスクも小さい。

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ところが、ショーが負傷してしまったことで代わりにタイプの異なるブリントを、
中盤にはフェライニではなくアンドレ・エレーラを起用してきたことからして想像できるのは、
これまでと異なりショートパスでの運び方を考えていたことです。

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ただし、前線にイブラヒモビッチと中盤にポグバが存在している事からも
ロングボールの道も残しているわけで、つまりのところユナイテッドはこの試合
ショートパスとロングボールを併用する形でボールを運ぶことを考えていたと思います。

ショートパスを繋ぐと見せかけてロングボールを蹴る
その逆にロングボールを蹴ると見せかけてショートパスで繋ぐ。

上下の2つの運ぶルートを組み合わせることによって
レスターのプレスラインを曖昧にして無力化する、
ユナイテッドはそういう意図を持って試合に臨んだように感じます。

ブリントの起用で左サイドからボールを前に進めて
レスターの右SMFリヤド・マレズを前に引き出せれば、
マレズの背後でボールを受けることで右SBダニー・シンプソンが引き出されるため
今度はシンプソンの背後にスペースができる。

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レスターのカバーは横スライドするCBモーガンとなり
モーガンをサイドに引っ張り出した状態で存在するイブラヒモビッチは
クロスボールの供給によってゴール前にカオスを与える。

そのためにもサイドのブリントとマーカス・ラッシュフォードに
中央からフアン・マタであったり逆サイドのジェシー・リンガードを加える事で
ユナイテッドは左サイドに人数をかけて攻略を図ります。

その反対にマレズを引き出せなかったら、レスターのブロックの背後への飛び出しと
逆のベクトルで前線からボールを受けに来ることでレスターディフェンスを撹乱し
ボールをキープし相手を押し込める。

そうすることでユナイテッドの手前側にはスペースができ
片側サイドに人が集まれば逆サイドにスペースができるので、
手前側にできたスペースを使ってフリーとなったポグバがサイドチェンジをすれば
右サイドで前方にスペースのできたヴァレンシアがスピードを活かせる。

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ブリントを起用することで主に左からボールを運んで攻略を図り
ダメならスペースの広がる右サイドへ移動するというのが
この試合におけるユナイテッドの基本的な攻め筋だったと思います。

その攻撃でボールを失ったとしても直後からプレッシャーをかけて
レスターのカウンターの芽を摘んでボールを奪い返して再び攻撃へと移る。

クリス・スモーリングとエリック・バイリーの両CBで
レスターの2トップのジェイミー・ヴァーディとイスラム・スリマニを抑えたら
ブリントでマレズに蓋をして
エレーラを後ろに残すことで数的優位を確保してリスクに対するマネジメントをする。

ユナイテッドのポゼッション自体が丁寧さに欠けたりミスもあり
またカウンターを窺うレスターの切り替えも速いので
必ずしもボールをレスター陣内に閉じ込められたわけではなかったですが、
相手のカウンターから身を守る上でユナイテッドの高い位置での守備は
ある程度の成果を挙げていたように思います。


慢性的に足りないレスターの高さの枚数

攻撃を続けるユナイテッドは流れからゴールを奪うには至らなかったものの
コーナーキックからスモーリングがゴールし先制に成功します。

ユナイテッドとレスターの間にはまず身長差で大きな隔たりがあります。

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レスターは昨シーズンでも
ヘディングは得意だけれども高さがあるわけではない岡崎慎司をゴール前で競らせて失点しているように
センターバックのロベルト・フートとウェズ・モーガン以外高さが無いのがウィークポイントでもあります。

この試合でも両CBにヴァーディを加える形で対応しているわけですが、
ブリントのキックの前にイブラヒモビッチがゴールの外側に逃げて
マークするモーガンを外に引き出しているため
ゴール前におけるレスターの高さはほぼフート頼みの状況になってしまっています。

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高さの足りないレスターの中で高さを担うセンターバックの内
どちらかをゴール前からどかせることができればレスターの城壁は極端に低いものとなります。

それに対してユナイテッドはイブラヒモビッチが外側に逃げてゴール前から消えたとしても
スモーリングやバイリー、ポグバによって高さを失わないため
モーガンとの高さの相殺はデメリットにならない。

高さに関しては質的優位を有していたユナイテッドがアイデアを加えることによって
まさしく頭を使ってゴールを挙げたと言えると思います。

この先制点が布石となって、
ユナイテッドは終盤コーナーキックから3点目、4点目を奪います。

高さへの警戒を強めたレスターを嘲笑うかのように
ユナイテッドは今度は空中戦ではなく足元からボールを繋ぐと、
ニアにマタが飛び出して折り返したボールをラッシュフォードが押し込み3点目を挙げます。

その2分後にもコーナーキックから今度は空中戦でポグバが4点目を挙げたように
コーナーキックに限ってはレスターが対抗する術はなくボロボロと失点を重ねて
ユナイテッドがゲームをコントロールしてしまったのがこの試合だったように思います。


ユナイテッドに隙を与えたレスターの不完全

ユナイテッドの先制点と3点目、4点目はコーナーキックからによるものでしたが
2点目については流れの中から生まれています。

2点目が流れの中から生まれた背景には
この試合で採ったユナイテッドの攻め筋が関係しています。

左サイドから攻め入りダメなら右サイドを使う、
これがこの試合のユナイテッドの基本的な攻め筋だったわけですが、
左サイドから右サイドへとボールが運ばれる事になると
レスターのコンパクトなディフェンスはボールサイドへ寄せたところから
逆サイドへと全体をスライドさせて対応することになります。

しかし、その際にスペースと時間を与えられるヴァレンシアから
アーリー気味にクロスボールが入ってくる可能性を頭に入れるため
レスターのCBはゴール前から動きにくくなります。

CBがゴール前にステイすれば
対応に当たろうとするサイドバックとの間にはスペースができてしまいます。

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そのスペースに対してユナイテッドはポグバが侵入する構えをとるため
レスターはドリンクウォーターが埋めに入るわけですが、
ポグバは侵入しそうでしないためにドリンクウォーターからのマークを外れて
バイタルでフリーとなっている。

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レスターはフリーにするわけにはいかないのでボールを受けようとするポグバにマークを集めれば、
ヴァレンシアがフリーとなってレスターの左サイドは風前の灯となる。

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そのような状況に陥ることを避けようとするレスターは
左SMFのオルブライトンをスライドに組み込まずに左サイドにステイさせる。

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そしてユナイテッドにチェンジサイドされた際に即座にサイド対応できるようにし、
左SBフクスをペナルティエリアの幅から外側に出さずにCBとSBの間にスペースを作らないようにする。

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レスターのそうした対応によってヴァレンシアには時間とスペースが与えられなくなるため
ユナイテッドは右サイドにボールを持ってきても手詰まりになるわけですが、
オルブライトンがヴァレンシアに対して必要以上に注意を払っていることは
ヴァレンシアでオルブライトンをコントロールできる事を意味します。

ヴァレンシアのポジショニングを上げれば
オルブライトンはそのマークのためにポジショニングを下げるので
ユナイテッドは右サイドの低い位置でスペースと時間を得ることができる。

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そうしてオルブライトンをどかして空けたスペースに下りてきたマタが
そこから中央へと侵入してワンタッチでのパス交換から抜け出し
フリーでゴールを決めたのがユナイテッドの2点目となります。

もし2トップの一角が岡崎であればプレスバックしてスペースを埋めてくれるので
ユナイテッドの2点目はなかったかもしれません。

そこは岡崎本人としても、見ている日本人としても評価してほしいところで、
昨シーズンは生じる事の少なかった状況が
今シーズンのレスターには生じてしまっているように感じます。


短期的危機を乗り越えて示したい長期的ビジョン

コーナーキックからゴールを量産し0−4で折り返したハーフタイムに
レスターは中心選手のヴァーディとマレズを代えると
新たにアンディ・キングとデマライ・グレイを加えて布陣を4−1−4−1に変化させています。

ゴールを奪おうとするならばボールを相手から取り上げなくてはならないため
チェイシングの枚数を削る判断はしないはずですが、
逆に1枚削って中盤の枚数を増やして横幅への対応を強化している事からも
この時点でレスターはゴールを奪い返す事ではなくこれ以上失点しない事にシフトさせたように思います。

その中で挙げたグレイのゴールには感嘆の声をあげるところではありますが、
試合を諦めたと言っていいレスターと点差が開いた事でモチベーションを保てないユナイテッドから
これ以上の変化が生まれるようなこともなく、試合は4−1のままユナイテッド勝利で終了します。

ルーニーを外して起用したマタからゴールとアシストが生まれていることからしても
モウリーニョのルーニー外しの決断はひとまず対価を得るに至ったようには感じます。

ただし、序盤にはボールを捌くところでミスしてロストも頻発していたように
ルーニーではなくマタでなくてはならない程のパフォーマンスだったかと言えば
そうとも言い切れなかったように思います。

ルーニーを外した事、マタを起用した事よりも
左サイドにブリントと中盤にエレーラを起用してのゲームプランが確かだった事の方が
ユナイテッドの勝利に与えた影響は大きく、
それにより獲得したセットプレーを高さの優位性とアイデアを用いて制した事が勝因だったと思います。

それだけに眼前の障害物を避けただけに過ぎず、
マタのパフォーマンスの質が下がれば
いずれまた現在と同じ岐路に立つ事になるように感じます。

ルーニーかマタかではない、根本的に問題の解決を図ることが必要に思います。






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posted by ピーター・ジョソソン at 17:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | イングランド プレミアリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月20日

申し子を手に入れたトゥヘル

「18日間で6試合を消化せよ」

それが国内リーグとチャンピオンズリーグを掛け持つボルシア・ドルトムントに課された今月の日程であり、
その連戦の3戦目に当たるのが今節のダルムシュタット戦でした。

連戦の初戦となった前節のライプツィヒ戦を落としはしましたが、
続くミッドウィークのCLレギア・ワルシャワ戦そして今節のダルムシュタット戦と
共に6−0で圧勝したドルトムントは初戦の躓きを感じさせず勢いさえつけているように感じます。

ライプツィヒ戦の敗戦から一転してドルトムントが上昇カーブを描けた理由は
ラファエル・ゲレイロの高いパフォーマンスにある事はもはや誰の目にも明らかだと思います。

メッシやロナウドのようにひとりで試合を決められる選手ではないにもかかわらず
チームに多大な影響をもたらしているのはなぜなのかを考えていきたいと思います。

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変化するサイドバックの役割

EURO2016ではポルトガル代表のメンバーとして優勝に貢献し
大会の優秀選手にも選ばれたゲレイロがプレーしていたポジションは左サイドバックです。

サイドバックは従来タッチライン際で走力と持久力を活かして上下動を繰り返す事により
守備面の安定と攻撃面に厚みを与える事を主な役割としていましたが、
プレーする位置はあくまで端っこでその役割は限定的でした。

ところが、組織守備がブラッシュアップされてくると少ない人数だけではゴールを奪う事が難しくなり、
サイドバックは更に踏み込む形で攻撃への参加を求められるようになります。

本来後ろにいたはずのサイドバックの攻撃参加は
マークを難しいものとする事から大きな対価を得るに至りますが、
サイドバックが攻撃参加すれば背後ががら空きになるのは自明の理でもあります。

嵩にかかった攻撃が不発に終わりボールを失えば
たちまち背後に空けたスペースを衝かれて相手からカウンターを受けてしまう。

つまりは、サイドバックの攻撃参加はチャンスとピンチが背中合わせの諸刃の剣でもあり、
そこを解決できない事には片道切符の玉砕戦法になってしまうわけです。


サイドバックで攻撃に厚みを加えた上で如何に相手のカウンターを防ぐか


それがボールを持って攻撃したいチームにとっての課題となるわけですが、
その課題に対して近年新たなアイデアをもたらしたのがペップことジュゼップ・グアルディオラです。

サイドバックの攻撃参加により背後のスペースを衝かれて相手のカウンターとなってしまうのであれば
カウンターを未然に防止してボールを自陣まで運ばせずに敵陣に閉じ込めてしまえばよい。

ボールが常に相手陣内にあれば自陣ゴールを脅かされる危険性がないのだから、
自陣ゴール前でなく相手ゴールに近いところで守備をする。

そのためにはディフェンスラインを上げて、敵陣で予め整然とした配置に就いて
失った直後からプレスをかけて相手を囲める状況を作っておく。

そうして自陣ゴール前で待ち受けるのでなく相手陣内で潰す守備をするようになると、
サイドバックは縦方向への動き、走力と持久力を求められた時代から
異なる役割と能力を求められるようになります。

グアルディオラが最初に率いたバルセロナでは
メッシという絶対的な質的優位を持つ選手が中央に存在した事から、
メッシを自由にするために右サイドのウイングを中に寄せて
空いたウイングのポジションに右サイドバックのダニエウ・アウヴェスを上げると
逆サイドバックのアドリアーノには中に絞らせアンカーの横に並ばせて攻守の両立を図った。

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その後指揮したバイエルンでは質的優位がサイドのロッベンとリベリーにあった事から
片方だけでなく両サイドバック共にアンカーの横に並べて
中盤中央に数的優位を作り出して攻守の両立を図り、
ロッベンとリベリーが外から中に入ってきたら
渋滞しないよう中央に絞っていたサイドバックは外側に出る。

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攻守の課題を解決するこのペップのアイデアにより
ほぼ縦方向の上下動に限られていたサイドバックの動きは
サイドの低い位置(サイドバック)→アンカーの横(セントラルMF)→サイドの高い位置(ウイング)と変わり
自身の背後にボールが送られる前に未然に潰す守備へと変化したわけです。

ペップが示したアイデアは伝播し、現在ではバイエルンだけでなく
ドイツのブンデスリーガでプレーする多くのサイドバックがこの動きを取り入れるようになり、
ハンブルクの酒井高徳も日本代表において意識的に実践しているように思います。


両立に駆られたドルトムント

話を戻しますと、ドルトムントもまたボールを持って試合を進める以上は
攻撃に厚みを加えた上で相手からのカウンターを防ぎたく相手陣内にボールを閉じ込めたい、
そこは同じだと思います。

昨シーズン前期には、香川の鮮やかなダイアゴナルパスから
フリーになっている右サイドバックのギンターに通し 中央に折り返されたボールをオバメヤンが押し込む、
世間から「ファンタスティック4」とまで言われ絶賛された華麗な攻撃陣のゴールパターンですが、
その派手なゴールシーンの反面ではギンターの背後に空くスペースからボールを運ばれて失点もしており、
トゥヘルとしては昨シーズン後期そこにメスを入れたかったはずです。

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昨シーズンのドルトムントの質的優位がどこにあったかと言えば
オバメヤン、ロイス、ミキタリアンで構成する他を圧倒するスピードの3トップであり、
そのスピードを存分に活かすためにも相手の背後にスペースを作りたい。

それには後方でボールを動かすことで相手を手前側に釣り出して引き込みたく、
トップ下の香川の存在というのは
その3トップのスピードを活かすためのスペースを作り出す疑似餌としての役割を期待したので
高い位置でプレーする事を求められたわけです。

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その3トップのスピードを活かした上で守備の安定を図るためには
ボールを運ばせる事なく未然に潰すために中盤中央に数的優位を作り出したい。

そのためには相手の中盤中央が2人だったらトップ下の香川+セントラルMFで3人にし、
相手が3人だったらどちらか一方のサイドのサイドバックを最終ラインに残して3バック化し
もう片方のサイドバックの位置を上げる事で相手のサイドバックを牽制して
同サイドウイングのロイスをインサイドに送り込んで中盤中央に4人目を作り出す。

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このやり方自体はトゥヘル独自のものだったわけですが
理論的には左右のサイドバックでバランスを取ったという点で
バルセロナ時代のペップの手法と同じだったように思います。


ゲレイロでなくてはならないわけ

昨シーズンのドルトムントで質的優位をもたらしていた3人のうち
今オフにはミキタリアンが移籍しロイスは負傷から復帰する目途が立っていませんが、
代わりに加入したシュールレとデンベレによって
今シーズンのドルトムントには新たな質的優位がもたらされています。

その質的優位は現状ミキタリアンとロイスを凌ぐものとは言えないにしても、
特にデンベレは数シーズン後にはそこまでに育つ期待感はあると思います。

その質的優位となる箇所を攻守両面で支えることになるのが中盤中央における数的優位となりますが、
それらの事象はすべてビルドアップという土台の上に成り立っています。

前線における優位性を獲得するためにはそれぞれが整然とした配置に就かなければならず、
そのためにはスピードと意図を持った事前のパスが必要であることは
以前にも紹介したペップ本に書かれている通りです。

ところが、前節対戦したライプツィヒのように組織守備が機能しプレッシングの強度が強ければ
ドルトムントの土台となるはずのビルドアップ部分から揺らいでしまいます。

トゥヘルはライプツィヒ戦後に
「ディフェンスラインや中盤でミスが多かった。集中力を欠いていた」とコメントしているように
ドルトムントの選手に対しては更に高いレベルのプレーをイメージして要求していますが、
相手のプレッシング強度が強ければボールを動かすところに不安は出てきます。

今シーズンは繋げるセンターバックだったフメルスが移籍し、
決して足元がうまいとは言えないソクラティスと加入したばかりのバルトラでは
事前のパスのクオリティが十分でないところはあると感じますが、
その不安を取り払ってくれる存在として浮上してきたのがゲレイロなのだと思います。

ゲレイロが中盤中央からサイドバックの位置に下がってビルドアップに寄与する事で
ドルトムントは事前のパスを安定的に機能させる事ができる。

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しかし、前線の選手が後ろにまで下がってボールを捌くのであれば
インサイドを主戦場とする香川やゲッツェでも同じ仕事ができるはずですが、
決定的に異なるのは下がってもなお整然とした配置に就けているかどうかであり
言ってみればマルチロールの選手かそうでないかという違いだと思います。

ビルドアップに不安があるからといってひとりが後ろに下がってしまえば前線の枚数は減ります。

ボールを動かす選手を増やす事でボールは回るようになるかもしれませんが、
それはボールを使って相手の整った守備バランスを乱しているのではなく
ボールを動かすために自らの配置を乱している事になるわけで
結果として事前のパスで自らが整然とした配置に就くという目的を阻害してもいるわけです。

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それが昨シーズン後期にトゥヘルが香川に下がらないよう求めたもう一つの理由だと思いますが、
香川やゲッツェと違ってゲレイロの場合は本来がサイドバックの選手であるため
整然とした配置を阻害しないままにビルドアップに安定をもたらすことができます。

インサイドのゲレイロが下がったならば
ウイング(デンベレorシュールレ)がインサイドに下りる事で中盤中央での数的優位を確保し、
それに伴ってサイドバックだったシュメルツァーは更にポジショニングを上げる。

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ウイング化したシュメルツァーで相手のサイドバックを外に引っ張る事ができたならば
その背後に空くスペースをブロック間へと移動していたウイング(デンベレorシュールレ)が衝く。

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ウイングが前方へとランニングをかける事で空いたブロック間には
再びゲレイロが戻るために中盤中央での数的優位はやはり失われず、
ウイング化していたシュメルツァーもサイドバックへと戻る事で守備の安定が図れます。

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ビルドアップに寄与する低い位置、サイドの高い位置、ブロック間、と
3つのポジションを流動的に移動する選手を1つのユニット化し
循環させる事であらゆる局面で優位性を確保する。

そうして攻守を両立させるのがトゥヘル・サッカーのひとつの側面であり、
そのサッカーを実現させる存在がゲレイロであるからこそチームに与えた影響も大きかったわけです。


天敵5バックを攻略するプランB

ドルトムントのポジション循環が機能しサイドバックの背後を取って突破できれば、
中央からサイドに引っ張り出されることになる相手の守備は
ゴール前で数的優位を作る事が困難になり崩壊するのは時間の問題となります。

レギア・ワルシャワ戦、続くダルムシュタット戦と
スターティングからゲレイロを起用した事とドルトムントが大量のゴールを挙げた事は
もちろん個々の選手のパフォーマンスが良かった事もありますが全くの偶然ではなかったわけです。

但し、4−1−4−1の布陣で臨んできたレギア・ワルシャワ戦では
前半早々からゴールを重ねて計6ゴールを挙げたのに対して、
5−4−1の布陣で臨んできたダルムシュタットに対しては
ドルトムントは結果的には同じ6ゴールを挙げているものの
前半に挙げたゴールはカウンターからの1ゴールに留まっていたように
その中身を見れば同じようで同じでないことが分かります。

レギア・ワルシャワ戦では試合開始からゴールを量産したドルトムントが
ダルムシュタット戦では前半の間に先制できてはいるもののその後はなかなか追加点を挙げられなかった、
その原因はレギア・ワルシャワがザルだったからでもダルムシュタットの守備が粘り強かったからでもなく
相手の布陣に4バックと5バックの違いがあったからだと思います。

相手が4バックであれば、
サイドの高い位置の選手で相手のサイドバックを外に引きつけてその背後にスペースを作ったら
スペースランニングをかける事で中盤中央から相手の選手を排除してバイタルにスペースを生み
あっという間にチェックメイトの状態を作り上げる事ができる。

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しかし、相手が5バックとなると、仮に同じことをしたとしても
相手の1人多いセンターバックがサイドバック裏のスペースをカバーしてしまうため
バイタルからも相手が消えずに効果が上がりにくいわけです。

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アトレティコ・マドリーのように4バックの完成度が高かったりすればまた別ですが、
ペップ・モデルのポゼッションサッカーに対峙したチームの多くは
自らの攻撃の枚数を削ってでも守備の枚数を増やす決断に至っています。

シミュレーションしてみればあっという間に崩される未来が想像できてしまうからで
守備の枚数を増やすのはやむを得ない。

ダルムシュタットも攻撃を削って5バックを採用する事によって
ドルトムントに圧倒的にボールを支配される展開ながらも1失点に留めており、
失点のプロセスもポゼッションからではなくカウンターからでした。

守備が整えられている時には失点しなかったのですから、
カウンターからの失点さえなければ
ダルムシュタットにとって計算通りの試合だったと言えるのかもしれません。

しかしながら、そのカウンターでの1点のビハインドから
ゴールを取らなくてはならない状況に陥ったダルムシュタットは
後半になって今度は守備の枚数をひとり削って攻撃にかける人数を増やすために
4−4−1−1の陣形へと変更を施しています。

5バックから4バックへと変更されることで
最終ラインのところでのセンターバックによるカバーリングが機能しなければ、
レギア・ワルシャワと同じ結末となることが不可避だった事は
後半のドルトムントの5ゴールからも理解できると思います。

おそらくドルトムントがカウンターから先制していなければ
ダルムシュタットはアウェイだったこともあり後半も5バックを継続して
最悪スコアレスドローで試合を終える選択肢もあったはずですが、
失点してしまった事でその選択が取れなくなった。

ダルムシュタットにそうした選択肢を取らせなかったのは
ドルトムントがボールを持って攻撃しながらも守備を両立させて相手のカウンターの芽を摘んでいた事と
ボール保持からゴールが取れなくともカウンターからゴールを奪えた事があり、
今もなおユルゲン・クロップの遺産がドルトムントの助けになっていると感じます。


気になるドルトムントと香川真司の今後

ゲレイロがフィットし始めて機能性の増したドルトムントを止めようとしたら
相手にとってかなり厄介な作業になると感じます。

ドルトムントと対峙するチームの指揮官は
自らのチームの攻撃の枚数を削ってでも守備の枚数を増やさざるを得ない。

これまでペップ・バイエルンと対峙したチームがそうであったように
トゥヘル・ドルトムントと対峙したチームもまたそうした決断に迫られるように思います。

逆にドルトムントからすると、主力が移籍しチームの再編が求められていた中で
新戦力が予定通りか予想より早かったのかそれとも想像以上だったのかは分かりませんが
フィットしたことで王者バイエルンの迎撃も期待できる状態になってきたと言えるのではないでしょうか。

主力の抜けたドルトムントが対立軸として存在できるポテンシャルがあることを示した事は
開幕して間もない今の時点で既に1強が濃厚だったブンデスリーガのタイトルレースを
興味深いものにしてくれると思います。

日本人としてはそこに香川真司が食い込めるのかが気になるところではありますが、
現状は日本代表招集からのコンディション不良により出遅れて
その間にゲレイロに出し抜けを食らった感は否めず、
左のインサイドハーフのゲレイロとは逆の右のインサイドハーフを
カストロ、ゲッツェと三つ巴で争うような状況になっているようにも感じます。

香川にカストロにゲッツェと、これまで主力級だった選手達を控えに回すほどに
マルチロールのゲレイロのパフォーマンスは衝撃的だったと言えます。

但し、過密日程の中シーズン通して選手を絶えず固定して起用する事はできないので、
セントラルMFタイプのカストロそしてローデを起用する試合もあるでしょうし、
中盤の底が1枚から2枚となれば香川とゲッツェを抱えている事から
トップ下のポジションを採用する機会も出てくるだろうと思います。

必ず巡ってくるであろう機会を活かすことができるかどうかが香川には問われるところで
出場できるようにトレーニングをし出場機会を得たらその成果を出す事は
過去においても現在においても変わりはないと思います。

ただ、新戦力の強烈なパフォーマンスによって
競争が熾烈でよりシビアなものになったことは間違いないのではないでしょうか。






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posted by ピーター・ジョソソン at 15:24 | Comment(2) | TrackBack(0) | ドイツ ブンデスリーガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月13日

敗戦の中で感じた新時代の胎動

代表戦ウィークによる中断が明けて再開したドイツ・ブンデスリーガ。

開幕ゲームには勝利したものの新戦力の融合に苦慮する姿も見受けられたボルシア・ドルトムントと
話題を集める中で今シーズンから1部に昇格してきたライプツィヒによる対戦。

絶対王者バイエルンを追いかけるためにも早期にチームを完成に近づけたいドルトムントではありますが
代表ウィークによる中断期間はチームの熟成機会を奪うだけでなく
この試合でも香川真司が出場できなかったように選手個々のコンディショニング管理も難しくします。

そうした状況を見越してドルトムントでは
昨シーズン途中から選手を固定化せず全体の底上げを図っていたわけですが、
それが奏功したのか見ていきたいと思います。

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ヴィジョンを体現できないドルトムント

ボールを保持するしないに拘る事なく
状況に応じて柔軟にサッカーを展開できるようにしているのが現在のドルトムントではありますが、
相手がバイエルンでなければボールを持って試合を展開させる事になります。

ボールを持ったドルトムントに求められるのはボールによって試合を支配し勝利する事であり、
後方からのビルドアップがボールを支配するためのベースとなります。

相手のプレッシングよりもひとり多い数的優位の状況を後方で作りボールを動かす事で相手を引き込んだら
ひとりがボールと共にプレッシングからエスケープし
中盤2列目の背後を取る事によって相手に更なる対応をさせて守備を瓦解させていく。

例えば前節のマインツとの試合でのドルトムントはセントラルMFとサイドバックが
代わる代わる最終ラインに落ちる形でビルドアップする人数を増減させていますが、
今節のライプツィヒとの試合では基本的にセントラルMFであるローデをCBの右側に落としています。

4−4−2の布陣のライプツィヒのプレッシングは
2トップにプラスして右にボールを振った時だけ左MFが前に出てくるため、
基本的にローデを最終ラインに落とす事のみで数的優位を作ろうとしたものと思われます。

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後ろで確かな数的優位の状況を作って相手の2列目から選手を前に引き出し
その背後を取る事で相手に対して更なる対応を迫っていくわけですが、
マインツ戦のようにドルトムントがSBシュメルツァーの位置を上げる事で
相手のサイドバックを足止めできれば左MFシュールレをマークから解放して
香川と共にインサイドに送り込んで相手のアンカーに対して数的優位を作ってバイタルを握る。

逆に今節のライプツィヒのように相手のサイドバックまでもが
どんどん前に詰めてきてプレッシングしてくるのであればその背後にできるスペースを窺う。

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相手の出方に応じてビルドアップの仕方と枚数を変え
ボールを進めた先で裏と表のスペースを巧みに使いわけできれば
相手にとって対応の難しい嵌め技になるわけですが、
なかなか思うように展開できていないのがこれまでのところではないかと感じます。


ドルトムントを苦しめたライプツィヒのブル・プレッシング

前節のマインツとの試合ではドルトムント自身のパスのスピードと判断が良くなく
ビルドアップ作業の質が上がらなかったために自滅していたところもあったように感じますが、
今節のライプツィヒ戦では相手の組織的なプレッシングによって妨げられたと感じます。

ライプツィヒは巨大な資本を後ろ盾としている事から今シーズンのドイツで話題の昇格チームでありますが、
「ゲーゲン・プレッシングの生みの親」であるラルフ・ラングニックの流れを汲むことから
戦術的にも注目を集めるところ。

その先鋭的なスタイルはこの試合の開始直後の時点で既に表れており、
試合開始1分には後ろから繋ごうとするドルトムントに対して
ライプツィヒは前線と2列目の選手がMFヴァイグルを囲い込むかのように
極端なポジショニングを取っています。

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両サイドが中に絞り2列目中盤がラインを上げる事で中央に人を投入すれば
ボールを持ったドルトムントは真ん中のヴァイグルを経由させるのはリスクが高くなるので
当然サイドへとボールを振る事になりますが、
右に振れば左MFサビッツァーが前に出てくるため
その背後でピシュチェクがボールを受けようとするも
ライプツィヒは左SBハルステンブルグが躊躇せずに前に出て潰してきます。

ハルステンブルグが前に出てくればその背後にはスペースができ
この日右MFを務めたカストロがマークを外れてフリーマンになれるはずですが、
ハルステンブルグがコースを消しながらプレッシャーをかける事でピシュチェクには前を向かせず
背後にボールを送られたとしても選手間の距離を縮めているライプツィヒは
セントラルMFまたはCBがサイドにスライドしてカバーリングを利かせます。

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それならとボールを持ったドルトムントが反対の左サイドからボールを進めようとすれば
2列目で中央に寄せていた右MFカイゼルが素早く外に向かってプレッシャーをかけてくるため
ドルトムントは左サイドでも数的優位を作る事がままならずに袋小路に陥る。

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前半20分過ぎにはヴァイグルが強引に中央の密集地帯を独力で突破してきたりもしますが、
中央を潰されて右も左も蓋をしてしまうライプツィヒの
組織的な守備からの縦に速いトランジションは脅威であり、
ドルトムントはボールの支配どころか逆にライプツィヒにスペースを支配されて
ゲームの主導権を握られそうになります。

ライプツィヒを率いるハーゼンヒュットル自身かつてのインタビュー記事で
90分間通してプレッシャーをかけ続ける事が無理である事を認めているように
試合の中でライプツィヒのプレスラインは低くなる事もあり、
ボールを持つ上で時間とスペースを与えられるドルトムントが
ライプツィヒのライン間のシュールレやカストロやゲッツェに
ダイレクトにクサビ入れる事で攻撃を展開させたりもしますが、
ライプツィヒのプレッシングに多くの時間で手を焼いたというのが正直なところだったと思います。


敗戦の中で手にした新たな武器

ライプツィヒの厳しいプレッシングに手を焼くドルトムントは
後半になるとGKやCBからライプツィヒディフェンスの背後にボールを出し
奥行きを使う事によって縦幅を拡げるようになります。

縦幅を作る事はプレッシング地帯を回避してボールを運ぶだけでなく、
ライプツィヒのプレスの的を曖昧にしてその威力を下げます。

ディフェンスの背後に飛び出すオバメヤンやゲッツエにボールが送られれば
ライプツィヒのディフェンスは対応に迫られ後ろに下がるため
前半のように前に出て潰す対応が困難になります。

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背後への意識づけをすることで、ロングフィードを蹴ると見せかけて足元で繋げば
ライプツィヒのディフェンスは対応が遅れて縦方向へのコースを切れにくくなるため
ドルトムントは前半と異なり相手のサイドバックを前に引き出した背後でボールを受けやすくなります。

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スペースが狭められているのであれば拡げる作業をするのは当然で
それを試合の中で当たり前に修正していけるのがトップクラスのクラブであり
どこかの代表チームには耳の痛いところ。

しかし、変化はそれだけでなく、ドルトムントは後半途中から
ゲッツェに代えてゲレーロ、カストロに代えてデンベレを投入すると
トップ下のポジションを取っ払ってゲレーロを中盤インサイドの位置で起用します。

ゲレーロをインサイドで起用する事によってドルトムントの布陣は
数字上4−2−3−1から4−3−3へと変化するわけですが、
この変化は劇的と言ってしまっても過言ではない程にドルトムントを好転させたと感じます。

前半は両CBの右側にローデを落とす形でビルドアップしていたドルトムントは
選手を入れ替えた後半以降は両CBの左側にもゲレーロを落とすようになっています。

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状況に応じて右にローデ、左にゲレーロが落ちる事によって両CBの横がカバーされると
左肩上がりのライプツィヒのプレッシングは右サイドで問題を抱えるようになります。

ゲレーロが下がった事で逆サイドのローデは前に上がって中に絞りをかけているため
ヴァイグルが中央から離れて左サイドに寄せられるので
ドルトムントはビルドアップするためのパスコースが確保しやすくなります。

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また、ゲレーロが下がる事で左サイドバックの位置がカバーがされ
サイドバックがよりポジショニングを上げられる事も手伝って
相手のサイドバックに対して2対1の状況を作りやすくなります。

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対応を迫られる事になるライプツィヒに対して、
ドルトムントはゲレーロが左サイドバックの位置からインサイドにポジションを移動するため
中央には人が集まり数的優位の状況が作られます。

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中央での数的優位の状況は相手を中に寄せる事になるため
サイドに時間とスペースを与えて攻撃に幅をもたらし、
また選手間の距離が近いためボールを失った直後のボール回収作業の効率化にも寄与します。

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ボールを支配するためにはその始点となるビルドアップが重要であるとともに
ボールを失った後に奪い返すための守備も重要であることからして、
サイドバックとインサイドを往復できる選手は
ドルトムントにとってのどから手が出るほど求めていた選手だと思います。

つまりは、この試合でドルトムントはラファエル・ゲレーロという
バイエルンにおけるフィリップ・ラームの役割を担える選手を
手に入れている事を強く示したと感じます。

結果的に終盤ロングボールのセカンドを拾われたところから失点し
ドルトムントは獲得すべき勝ち点を失う拙い試合にしてしまいましたが、
ヴァイグルと共にチームの根幹となりうる若い選手の活躍は
勝ち点を失った以上の手応えをチームにもたらしたように感じるところで、
目の前の期待は萎みながらも将来の希望は膨らむ試合となったように思います。






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posted by ピーター・ジョソソン at 18:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ ブンデスリーガ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする